ロッテに浸透する“鳥谷効果” 練習見た藤岡裕大に生じた変化「もっとやらないと…」

ロッテ・藤岡裕大【写真:荒川祐史】

ハム近藤らの徳之島での自主トレに参加、打撃の助言を受けた

交流戦を終えて28勝28敗8引き分けで首位・楽天を3.5ゲーム差で追うロッテ。2005年以来のパ・リーグ制覇へ、チームに欠かせぬ存在となりつつあるのが4年目を迎えたロッテ藤岡裕大内野手だ。ここまで58試合に出場して打率.262(168打数44安打)、1本塁打、12打点。持ち前の守備力に加えて打撃でも存在感を発揮している。

「打撃は例年よりいい形になってきていると思う。しっかりボールに入っていけるようになってきました。引っかけた打球が減ってきたと感じています」

岡山理大付高、亜細亜大、トヨタ自動車を経て2017年ドラフト2位でドラフト入団。強肩の遊撃手として1年目に全試合出場を果たした藤岡だが、過去3年間の打率は.230→.264→.229。なかなか殻を破り切れずにいた。

飛躍を期した今季は一念発起し、日本ハム近藤健介外野手らが鹿児島・徳之島で行った自主トレに初参加。2019、20年に最高出塁率のタイトルを獲得したヒットメーカーに“弟子入り”し、新たな試みに着手した。

「意識を大きく変えました。詰まるのを恐れずに、体を開かずに打つ。バットを体の内側から出すことを強く意識しています」

イメージは左中間。近藤からの助言を参考に改良を試みた打撃に手応えを感じている。「近藤さんは無駄がなくコンスタントに打率を残している。まだ波はありますが、少しずつできてきていると感じています」。

ロッテ・鳥谷敬【写真:荒川祐史】

守備でも感じるウエート効果「球際に強くなった」

打撃だけではなく“肉体改造”にも取り組んでいる。例年以上にウエートトレーニングや走る量を増やしたことで守備にも好影響が生まれた。「足が動いているので球際に強くなったと思う」と実感している。

刺激になったのは、昨季加入した鳥谷敬内野手の野球に取り組む姿勢。毎日早くに球場入りして黙々とトレーニングに励む姿に衝撃を受けたという。「長くやる秘訣だと思います。鳥谷さんを見て、もっとやらないといけないと思いました」。

今季は試合前練習にもテーマを決めて取り組む。「毎日何か必ずやることを決めて球場入りしています」。その一つがウエート。“鳥谷効果”はチーム内に確実に浸透しているようだ。

今季は新外国人としてアデイニー・エチェバリア内野手が加入(現在は故障離脱中)。助っ人が遊撃の守備に就き、藤岡が三塁に回ることも多い。「いい刺激になっている。今年は守備だけではなく打撃で貢献したいという気持ちが強い。目標である打率.275~.280くらいには上げたい。今年は近い将来3割を打つための足掛かりのシーズンにしたいです」。

交流戦を8試合連続安打で終えた藤岡。18日に再開されるリーグ戦でもその打棒が注目される。

○藤岡裕大(ふじおか・ゆうだい)1993年8月8日生まれ、27歳。岡山県岡山市出身。岡山理大付高では主に三塁手。DeNA柴田竜拓内野手は同級生。亜大で1年春から三塁のレギュラーに。通算104安打を放ち、ベストナインを3度受賞した。トヨタ自動車では1年目に外野手として都市対抗に出場して優勝に貢献。2年目には西武に入団した源田の後釜として遊撃を務めた。2017年ドラフト2位でロッテ入団。昨季までの通算成績は330試合、打率.237(1099打数261安打)、11本塁打、96打点、25盗塁。178センチ、77キロ。右投左打。(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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