【新型コロナ】イギリスとロシアで再び感染者急増 デルタ株影響か

 イギリスとロシアで、5月下旬から相次いで新型コロナウイルスの新規感染者が急増していることが統計で明らかになった。インドで発見されたデルタ株の影響であるとされており、両国とも感染拡大防止に向けさらなる対応を迫られている。

イギリスでは5月下旬から急増

 17日、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドン大学による11万人弱を対象とした継続的な疫学調査の最新の結果が公表され、5月下旬以降急激に新規感染者が増え、有病率が直前の期間と比べ約50%増えていることが明らかになった。また17日の新規感染者数は1万1000人を越えており、今年2月下旬以来の多数となった。

 疫学調査の責任者であるスティーブン・ライリー教授は「有病率が若年層での感染増が原因で指数関数的に増加しており、 11日ごとに倍増しているようだ。 明らかに悪いニュース」と懸念を示している。この感染はほぼ、インドで発見された、現在最も感染力が強いとされる変異株であるデルタ株によるものとみられている。

 イギリスでは早急に国民の大多数にワクチンを接種するため、1回目の接種と2回目の接種の間隔を推奨される期間より長く取る政策を行なっており、これまで成人人口の半分以上が2回のワクチン接種を完了し、4分の3以上が少なくとも1回のワクチン投与を受けている。この成果としてここ数ヵ月の感染者数は減り続け落ち着きを見せていたが、新たな局面を迎えたようだ。

 保健当局はこの対応のため、18日より接種対象を18歳以上の全ての成人に拡大しさらに広くワクチン接種を進めるとともに、1回目と2回目の間隔を8週間に短縮する措置を決定している。

ロシアでは6月中旬より急増、入院数急増で医療体制ひっ迫か

 ロシアでは、5月までは1日の新規感染者数が8−9000人付近で比較的落ち着きを見せていたものの、今月10日以降一気に増えて、15日と17日の両日で1万4000人を突破した。

 首都モスクワのソビニアン市長は、この急激な増加について昨年のピークを迎えた状況と酷似していると指摘し、対策強化を指示した。また国全体の保健当局となる福祉監督庁のポポワ長官は、直近の2週間におけるデルタ株の感染者数の割合が急増していると明かしており、この感染拡大がデルタ株によるものとの見方を示している。

 感染対策としては、ケータリングや公共交通機関などのサービス部門のスタッフに対する強制的な予防接種の実施や大人数の集会禁止、娯楽施設の収容人数制限などさまざまな対策をすでに講じているが、国民全体のワクチン接種率は低迷したまま。モスクワ市内での入院数は先週から70%増加しており、現地の専門家はあと数週間で満床になる可能性を示している。

 なおロシア国内では、人口第二の都市サンクトペテルブルグでサッカーの欧州選手権の試合数試合が開催されており、これによる人流増加の影響か、ここ1週間の新規感染者数がその前と比べ30%以上増えているという。

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