韓国の経団連、自国の宇宙産業育成を促す 「人材や予算など日本レベルに拡大すべき」

「韓国の経団連」が韓国の宇宙開発促進を促す提言を行っている。

日本の経団連に相当する全国経済人連合会(全経連)は17日、報告書「主要国の航空宇宙産業の国際比較と示唆点」を発表し、世界の宙産業は昨年3850億ドル(約42兆円)の規模となり、20年後の2040年には1兆1000億ドル(約121兆円=現在レート)水準まで増加する見込みだと発表した。特に代表的な分野である衛星産業の世界的な規模も2010年の1670億ドルから2019年に2710億ドルへと過去10年間で約1.6倍増加したと明らかにした。

宇宙産業は自動車産業に比べて付加価値率は1.7倍高く、研究開発(R&D)人材の割合は2.5倍高く、高度な仕事を生み出す。また、航空宇宙分野は開発期間が平均10年と、造船(5年)、自動車(3年)など、他の産業に比べて雇用期間が長く維持され、安定した雇用創出にも有利である。

全経連は、宇宙産業はこのような重要性を持つにもかかわらず、韓国の状況は、世界的な基準に遠く及びないと指摘した。

韓国は宇宙開発業務を科学省(科学技術情報通信部)所属の巨大公共政策研究官の傘下部門で担当しているが、世界的な「宇宙大国」であるG5(米、英、仏、独、日)と中国、ロシアは独立した行政組織を別に設立し、宇宙開発に拍車をかけている。さらにケニア、ジンバブエのなども最近専門組織を新設する雰囲気だ。

政府予算と専門人材の面でも不足している。韓国は2020年に宇宙開発予算規模がG5 +中・ロと比較して最低レベル(7億2000万ドル、GDP比0.04%)であり、宇宙開発担当機関である韓国航空宇宙研究院(KARI)の予算(4億8000万ドル)と人材の規模(約1000人)も、これらの国に比べ下回る。

民間投資と技術水準も低調である。民間企業の宇宙投資のR&Dの規模は下位レベルであり、航空宇宙技術も低い水準だ。 2018年のOECD統計によると、民間宇宙産業のR&D投資規模は米国が264億ドル、フランス34億ドル、イギリス24億ドル、ドイツ20億ドル、日本の8億ドル水準だが、韓国は日本の半分の水準である4億ドルと最も低かった。

全経連は、韓国の現状を克服するための方案として、△宇宙開発担当組織の新設△予算・人材の拡充△民間企業の参加拡大△韓米宇宙協力強化を4大課題として提示した。

全経連はまず、「韓国型NASAのような独立した宇宙開発専門機関が設立されなければならない」とし「宇宙時代を備えるためには、宇宙政策を総括する国家宇宙委員会の地位を強化しなければならない」と述べた。韓国国家宇宙委員会委員長は、科学省長官が務めているが、強力なリーダーシップと複数の省庁の宇宙政策を調整するためには、首相に格上げする必要があるということだ。米国は副大統領が、日本は首相が関連機関の委員長を務めている。

次に、宇宙開発予算を大幅に補強し、宇宙開発専門機関の人材を日本やフランスのレベルに拡大する必要があると主張した。現在、年間7億ドルの水準である予算規模をロシア、日本の水準である30億ドル台に拡大して、宇宙開発専門機関人材もフランスCNES(2,400人)、日本のJAXA(1500人)のレベルに拡大する必要性を提起した。

また、宇宙開発に民間企業の参加を拡大して技術革新を図る必要があるとした。米国のスペースXが発射体の再利用に画期的コスト削減を実現した事例を挙げて、宇宙ファンドを育成し、航空宇宙スタートアップ発掘のための創業支援強化などを通じて民間企業の参加を画期的に増やすべきだとした。また、グローバル宇宙産業の発展をリードする米国との協力も強化しなければならないと強調した。

ギム・ボンマン全経連国際協力室長は、「韓米ミサイル指針の終了、アメリカのアルテミス計画への参加などを契機に、韓米間の宇宙協力を強化し、今年の宇宙産業の本格跳躍の元年とすべきである」とし、「特にロケットの開発、韓国型衛星航法システム(KPS)の構築に関連する対米技術協力外交を強化するなど、宇宙強国になるため、国家レベルで最善の努力を尽くさなければならない」と述べた。

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