ウワサの「肌断食」とは?効果や美肌の育て方を美容のプロが解説

肌本来のパワーはこんなにすごい

“美肌のためにスキンケア”。
この考えを少し変えてみると、肌本来の機能が目覚めてくれます。

肌は「排泄器官」

そもそも肌(皮膚)は、体の中を巡り終えた不要物・汗・皮脂などが排出される場所。いわば、“出口”なのですね。この皮脂や汗は混ざることで「皮脂膜」という天然のクリームとなり、肌の乾燥やホコリなどの外敵から守るバリア機能を果たしてくれます。
つまり、出口である部分に何かを塗るというのは少し不自然と言えます。

「菌」が美肌をつくる

肌本来の力を発揮するには、皮脂膜だけでなく「皮膚常在菌」も大きく関わっています。中でも「表皮ブドウ球菌」は、潤い成分を分泌したり肌荒れの原因となる「黄色ブドウ球菌」をやっつけたりすると言われており、「美肌菌」として注目されています。

皮膚常在菌は皮脂などをエサに繁殖していくため、本来は肌の働きだけでも十分美肌が手に入ると考えられます。

そもそも肌断食って何?

肌断食はなぜ注目されているのか? ここでその魅力を紐解いていきましょう。

肌断食とは、スキンケアやファンデーションなどをやめたり、なるべく使わないようにしたりする美容法のこと。先ほどご紹介したように、肌は排出器官なので、上から“塗る”というのは本来の働きを邪魔してしまっているとも考えられます。
また、肌そのものの“美肌力”に欠かせない皮膚常在菌は、化粧品に含まれる化学成分と相性が良くないとか。

こうしたことから、肌に何も乗せず本来備わっている機能を取り戻す肌断食が注目を浴びるようになりました。

肌断食にはこんな嬉しい効果が!

肌断食を進めていくと、嬉しい効果がたくさんあります。

(1)乾燥しにくくなる

あれこれスキンケアをすればするほど、肌が乾燥しやすくなってきたという人はいませんか? 実は、筆者もこれが原因で肌断食にたどり着いた一人。基礎化粧品を使うことで肌本来の潤い機能が弱ってしまっていたのです。
肌断食をすることで少しずつこの機能が回復し、乾燥しにくくなりキメも整っていきます。

(2)肌が丈夫になる

マスクや花粉、PM2.5など、肌にとっての“外敵”はたくさん。食生活や睡眠など規則正しい生活をしているのに肌が荒れやすい人は、肌のバリア機能が弱まっている可能性があるでしょう。このバリア機能は、化粧品に含まれる成分によって低下しやすいのですが、肌断食をすることで回復すると考えられています。その結果、荒れにくい強い丈夫な肌になれるのです。

(3)毛穴の開きが改善

毛穴が開く・目立つ原因は様々なのですが、洗いすぎもその一つ。洗浄力の強いクレンジングや洗顔石鹸は皮脂を落としすぎてしまい、肌がそれを補おうとより皮脂を分泌します。その結果、皮脂腺が発達して毛穴も大きくなるそう。

肌断食でこの“落としすぎ”をやめると、皮脂の分泌も落ち着いていき毛穴の開きも改善していきます。

(4)心にゆとりができる

美意識が高い人ほどこだわりが強いですよね。スキンケアで言うとお風呂上りにすぐ保湿しなきゃと焦ったり、疲れていてパックまでできないと肌の状態が下がるのではと不安になったり……。

肌断食はこうしたケアを一切する必要がなくなるので、心にゆとりができます。
筆者も元々はコスメが大好きで、スキンケアも入念にしていました。その結果かなりの乾燥肌になり、お風呂上りなども間髪入れずに保湿をしなきゃと焦る始末……。ですが、今ではお風呂上りも肌が一切つっぱることがなく、ずいぶんと気持ちが楽になりました。

効果がでない人がいるのは本当?

肌断食についてネット検索してみると、「効果がない」という意見が複数あるのも事実。これはやり方に問題があるのかもしれません。

例えば、化粧水・美容液・マスク・クリームなどしっかりと保湿している人が、急に全てをやめてしまうと、肌は潤いを補う働きが追いつきません。その結果、乾燥で肌がつっぱったり場合によっては皮がめくれたりすることに。

また、角栓についてもよく聞きますが、これは「滞りがちだった新陳代謝が肌断食によって正常になるため」と言われています。急に新陳代謝が活発になって細胞が積み重なることで角栓になるそうです。これは一時的なものなので、安心してください。

とはいえ、肌断食はごくまれに肌荒れが悪化する人もいるようですので、もし調子が良くならない場合はすぐ中止して医師に相談しましょう。

自分のペースに合わせて美肌を育てて

肌断食は、肌本来の機能を取り戻して美肌に導く方法ですが、先ほどお話した通りそれまでケアをたくさんしていればいるほどやめた時の“反動”が大きい場合もあります。
このため、一気にすべての化粧品をやめるのではなく、美容液からやめてみたり、化粧水のみを少しつけてみたりなど、自分のペースに合わせて進めていきましょう。

© 株式会社大新社