巨人に虎アレルギー? 追撃&逆転Vへ求められる原監督の “言霊パワー”

ベンチで眼光鋭かった巨人・原監督(左)

虎の尻尾が早くもかすんできた。巨人は18日の首位阪神との直接対決(甲子園)に1―7で大敗。追撃するどころかゲーム差を今季最大の「8」に広げられ、3位に転落した。巨人にとっては長年の「お得意さま」だった阪神の覚醒ぶりに面食らった状態で、今季の対戦成績は4勝6敗。アレルギー化は避けたいところで、原辰徳監督(62)が持つ〝言霊パワー〟が注目を集め始めている。

猛虎追撃ムードは序盤で打ち砕かれた。〝虎キラー〟だった先発のメルセデスが3回途中6失点KO。打線も阪神先発・西勇の前に1点を返すのがやっとで、試合後の原監督は「明日、頑張ります」と力を込めた。

試合前の時点では阪神に7ゲーム差をつけられながらも2位。直接対決で差を縮めたいところだったが、この日勝利したヤクルトにまくられて3位に転落した。何よりも阪神の勢いが衰えないばかりか、チームは相次ぐ故障者やスモークの電撃退団などで戦力が整わず、ジリジリと差を広げられる展開。しかも、長きにわたっていわゆる〝カモ〟としてきた阪神に勝ち星を先行させていることは、今後の巻き返しへ暗い影を落としかねない。

巨人は阪神に対して2012年から昨季まで実に9年連続で勝ち越し。お互いに勝率5割で星を分け合った3シーズン(09年~11年)を除けば、最後に勝ち越しを許したのは07年(巨人の9勝14敗1分け)までさかのぼる。巨人サイドにアレルギー反応が生まれるはずもなかったが、今季は様相が一変。以前から「阪神が全然落ちてこない」と危機感が芽生えていた球団内でも「苦手意識を持たないようにしないといけない」と警戒レベルは引き上げられている。

そこで、にわかに関心を集めているのが原監督の〝言霊パワー〟だ。18年オフに3度目の指揮官に就任した原監督は、チーム全体を暗示にかけるかのように強気で前向きな言葉を投げかけ続けて「カープアレルギー」の払拭に取り組んだ。当時、リーグ3連覇中だった広島は天敵と化していて、マツダスタジアムでは13連敗を喫するなどすっかり鬼門となっていた。

しかし、原監督は着任直後から「(昔の)広島が強かったというイメージはまったくなかった」と繰り返し強調し、敵地で行われた19年の開幕カードを2勝1敗で勝ち越し。最終的には10勝14敗1分けで負け越したもののリーグ優勝を果たし、昨季はV2とともに対広島で6年ぶりの勝ち越し(12勝9敗3分け)を決めて、負の歴史に終止符を打った。

「病は気から」とのことわざがあるように、ネガティブ思考がさらなる悪循環を生むケースは少なくない。原監督の前向きな言葉がチームを浮上させた〝実績〟もあるだけに、阪神にも…というわけだ。

阪神との対戦は残り15試合。いかに虎狩りを果たし、逆転Vへつなげていくのか――。

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