静岡県知事選挙は6月20日投票!未来の静岡を考えるための5つの数字

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6月20日に投開票を迎える静岡県知事選挙では候補者による熱い訴えが続いています。リニアの工事をめぐる報道や新型コロナウイルス対策などを通じて静岡県政への関心を持たれた方もいるのではないでしょうか。

若者世代の投票参加を後押しすべく、静岡県政において若者とかかわりのある5個の数字を紹介します。

「360万人」→静岡県の人口。2005年を頂点に緩やかな減少が続いている

静岡県の人口は約360万人(令和3年4月)です。

2005年に約379万人を記録したのを頂点として、県内の人口は緩やかな減少が続いており、直近の4年間でも7万人ほど減少しています。その中で特に目立つのが若者の県外への移動です。高校や大学の卒業を迎える年代の転出超過は2010年代前半には毎年3,500人程度でしたが、近年は5,000人弱となっています。

長期的な推計ではリニア新幹線の開業を迎えているであろう2030年には県内の人口が338万人になるということも予想されています。

一方で、新型コロナ対策として進められているテレワークなどの働き方改革の結果、都心から地域へと生活の拠点を移そうとする人の増加が見込まれています。民間団体による移住希望先の調査で静岡県が全都道府県の中でトップに選ばれたことが報じられていますが、withコロナの時代に向けて各候補者がどのような静岡県の未来を描いているのかが注目されます。

「61人」→保育所待機児童は減少も、隠れ待機児童は増加

働き手世代とされる15歳~64歳の県民は2019年の段階で209万人ほどですが、2040年には160万人と25%近い減少が見込まれています。今後、働き手不足などの問題が顕在化することが想定されるなかで注目されるのが女性の活躍です。

男女共同参画白書(平成29年版)によると、静岡県の15歳から64歳女性の就業率は67.1%(2015年)と全国で16番目に高い水準ですが、25歳から44歳女性の就業率に限ってみると72.6%(2015年)で全国30番目と順位を落としています。

また、管理職(会社役員、管理的公務員等)に占める女性の割合は15.3%、全国で低い方から数えて14番目に位置しています。(内閣府「都道府県別全国女性の参画マップ」)

女性の活躍を考える上で課題となるのが子育て支援です。

2021年4月における県内の保育所待機児童は前年度から61人減少し61人となっています。12年前の2009年の保育所待機児童数は364人でしたので徐々に保育所待機児童数が減少していることがわかります。一方で、隠れ待機児童の問題は引き続き存在しています。県によると、212人の保育所待機児童の報告のあった2019年に「特定の保育所等のみに申し込んだこと」を理由として保育所の利用に至らなかった児童は1,276人でしたが、122人の保育所待機児童が報告された翌年(2020年)に同じ理由で保育所の利用に至らなかった児童は1,591人と、保育所待機児童数の減少よりも隠れ待機児童数の増加の方が大きくなっています。

また、申込者に対して定員が不足している自治体として2市3町が報告されています。

ほかにも保育所待機児童の多くが小学校進学後に利用することになる放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童は2020年7月1日時点で408人が報告されていることなども女性の活躍を考える上での課題となります。

少子高齢化、働き手世代の減少といった未来が見込まれる中で、子育て世代の女性もより一層活躍することのできる社会を実現するためにはどのような取組みが必要となるでしょうか。

「7,758人」→2025年に見込まれる介護人材の不足数

高齢者とされる65歳以上の方の割合は、17.67%(2000年)から29.9%(2019年)と2000年代に入ってから急速に高まり、県民の4人に1人が高齢者となっています。

少子高齢化が進むなか、お年を召された方も活躍できる社会づくりが求められる一方で、深刻な問題となる可能性があるのが「介護」です

厚生労働省の調査によると、2016年度に静岡県内には4.8万人の介護職員の方がいましたが、2020年には5.7万人、2025年には6.5万人の介護職員の需要が見込まれています。

今後も介護職員の増員は進められていく見込みですが、2025年に見込まれている職員数は8千人弱の不足が予想されています。

なお、高齢者の方の増加ペースは今後緩やかになっていきますが、県民の中で75歳以上の方が占める割合が急速に高まっていきます。国立社会保障・人口問題研究所の推計では2015年には75歳以上の方は県民の13.4%ほどでしたが、2030年には20.7%と、いまから10年後には県民の5人に1人が75歳以上となります。

今後、全国各地で介護人材の需要が高まる中、静岡県ではどのようにして安心して老後を過ごせる環境作りやその担い手育成が進められていくことになるのでしょうか。

「210.2人」→人口10万にあたりの医師数。全国40位の水準

緊急事態宣言が発出されている愛知県やまん延防止等重点措置が実施されている神奈川県に隣接する状況にありながらも、静岡県の新型コロナウイルス感染者数は累計8,871人(6月14日時点)にとどまっており、病床使用率も29%(6月2日時点。NHKの集計による)となっています。そのような状況ですが、ワクチンの接種を進める際に課題と指摘されることになったのがワクチンの打ち手である医師の人数です。

静岡県において人口10万人当たりの医療施設に従事する医師数は2018年に210.2人と全国で8番目に少ない水準となっています。2008年に176.4人、全国で6番目に少ない水準であった状況からは改善していますが全国的に見ると県民に対する医師の人数は少ない状況です。また、人口10万人当たりの病床数も2019年に1037.1床で全国で8番目に少ない状況となっています。

地域ごとに求められる医療資源の状況は異なってきますが、新型コロナウイルスの様な疾病だけでなく、地震や台風などの自然災害のリスクなども念頭に、withコロナの時代に静岡県にはどのような医療、安心の仕組みが望まれるでしょうか。

「46.44%」→前回知事選挙(2017年)の投票率

静岡知事選挙の有権者数は約306万人です。

静岡県を100人の村に置き換えてみると、村人の内85人が投票権を持っていることになります。前回、知事選挙の投票率は46.44%でしたので、今回も同じ投票率だと仮定すると知事選挙で投票する村人は39人になります。

なお、若者の投票参加状況に限ってみると、18歳選挙権のもとで行われた最初の国政選挙(2016年参院選)での推定投票率18歳48.39%、19歳35.03%は、3年後(2019年参院選)に18歳32.37%、19歳23.91%と低下しています。また県内で最初の18歳有権者として投票した人たちの推定投票率は2016年(18歳)48.39%→2019年(21歳)24.37%と低下しており、割合だけで考えると、2016年に投票した人の2人に1人は3年後に投票していないことになります。

新型コロナウイルス対策として期日前投票の活用を県が呼びかけていることもあり、選挙期日前7日時点での期日前投票者数は19.5万票と前回知事選挙の同じ時期の1.5倍ほどになっています。このことは最終的な投票者数の増加に結び付くことになるのでしょうか。

リニア新幹線や新型コロナウイルス対策など、静岡県はこれからの数十年に影響を及ぼすような政策テーマに直面しています。そのような中で、今後、他のどの世代の方よりも長く静岡県とかかわりを持つことになる若者世代が静岡県の未来を「自分ごと」として考え、納得のいく1票を投じていくことが期待されます。

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