コロナ禍の東京五輪 「従来通りは無理」「リスク少ない方を」 神奈川の専門家有志ら提言

五輪・パラリンピックの感染対策について、専門家有志による提言を報告した岡部氏=川崎市川崎区

 「従来通りの五輪(開催)は無理だ」「市民の健康を守るべき」─。

 東京五輪・パラリンピックの無観客開催を「望ましい」と提言した政府の新型コロナウイルス感染症の専門家有志には、神奈川県内で行政の現場に身を置く関係者も名を連ねた。

 内閣官房参与で川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は最低限の開催が必要とし、「従来通りのオリンピックは無理」と強調。「一番簡単なのは(五輪開催を)止めること」とした上で、「やるなら無観客が一番リスクがない」と述べた。18日開かれた市感染症対策本部会議後、報道陣の取材に答えた。

 岡部氏は提言について、「専門的なことを言えば100パーセント取り入れていただきたい」と説明。ただ、国際公約や国内手続きなどには関与できないとし、「できるだけリスクが少ない方をとってほしい」と重ねて訴えた。さらに、開催による感染症の広がりは「困る」とし、「できるだけ小さくしてほしい。やってもやらなくても一定のリスクはあるので、大幅に超えないでほしい」と語った。

 一方、県健康医療局の中澤よう子医務鑑は全国衛生部長会の会長として会見に出席した。県民や事業者、医療関係者が自粛を強いられる現状を踏まえ、「市民の生活は感染防止だけで成り立っているわけではない」と指摘。「地方自治体の衛生行政を担う身として感染者や感染に対する不安を抱いた方と接している」と前置きし、「市民や事業者、医療従事者の努力と期待にしっかり応え、市民の健康を守るために最大限の努力をすべき。そのための方策を政府、組織委員会に取っていただきたい」と続けた。県内からは2人のほか、県の阿南英明理事(医療危機対策担当)も提言に名を連ねた。

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