ロッテ・マーティンの献身守備で浮き彫りに “日本選手の課題”を専門家が解説

ロッテのレオネス・マーティン【写真:荒川祐史】

ヤクルトで活躍、ソフトバンクでコーチも務めた飯田哲也氏が解説

今季の交流戦が終わり、セ・パのリーグ戦が再開した。12年ぶりにセ・リーグが勝ち越した交流戦では多くの好プレーが見られ、中でもロッテのレオネス・マーティン外野手の献身的なプレーは印象深い。5月28日のロッテ-広島(ZOZOマリン)の守備を取り上げたい。ヤクルト黄金期のリードオフマンで外野守備走塁コーチも務めた野球解説者・飯田哲也氏は好守備を称えた。一方でプロ野球OBとして、ある注文をつけることも忘れなかった。

飯田氏にはマーティンの走塁に続き、右翼守備について見て、解説してもらった。5月28日の広島戦。広島・メヒアが放った打球は右中間を破る勢いで転がっていった。しかし、マーティンがスライディングして好捕。二塁進塁を許さなかった。

「悪かった体勢から、そのあとが一生懸命ですよね。次の塁は絶対に渡さないという野球の本質がそこにありました。守っていれば、次の塁には行かせない。タッチアップは刺してやる。そういう気持ちが感じられます」

マーティンの心意気がプレーに表れていた。だが、1990年代にヤクルトの外野手として7年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得した飯田氏はこのプレーを見た後に、マーティンではない他の選手のプレーに疑問を抱いた。

「外野手として、マーティンのプレーは普通なんです。外国人のホームランバッターがここまでやると見ていて嬉しくなってしまいますが、外野手としてはこれくらいの守備はできないといけない」

「日本人選手がこういうプレーをしないから、称賛される」

コーチ時代、次の塁を渡さない守備の意識を伝えてきた。マーティンの献身的なプレーには頭が下がるが「日本人選手がこういうプレーをしなくなってきているから、このプレーが称賛されてしまうんです」と警笛を鳴らす。

「最近は目立ちますね。ポテンヒットを回り込んで捕球しにいって、二塁打にしてしまったりすることもある。一生懸命やって、できないのではなくて、やらない人が多くなりました」

1番の要因はミスをしたくないという消極的な心理が働いているからだと言う。安全にボールを捕球しようとするため、攻める守備が消えつつある。もちろん、積極的な守備で魅せる現役選手は存在する。守りで魅了するプレーがこれからも多く出ることを期待したい。

【動画】捕球後も一生懸命 単打に食い止めたロッテ・マーティンの守備

捕球後も一生懸命 単打に食い止めたロッテ・マーティンの守備【動画:パーソル パリーグTV】 signature

(Full-Count編集部)

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