ヘビメタバンド・ANTHEMがツアー終了 腕とバルーンを振り上げる観客の熱気は通常のライブを凌駕

振り替え公演を終え、ファンと写真を撮るANTHEM

昨年、デビュー35周年を迎えたヘビーメタルバンド、ANTHEMが「ANTHEM 35th ANNIVERSARY TOUR」の振替公演を終えた。5月8日の仙台から6月16日の大阪まで7か所8公演。

ANTHEMは1985年にデビュー。2000年には、世界的なボーカリスト、グラハム・ボネット参加の企画アルバムを制作した世界に誇る正統派メタルバンドだ。

2019年には全英語詞再録音ベスト・アルバム「NUCLEUS」を全世界同時発売、世界公演。順風満帆で最高の周年ライブになるはずだった。しかし、コロナ禍で延期となり、初めてライブができない年を過ごしたリーダーの柴田直人は苦悩の日々を過ごした。

今年2月ゲスト出演した愛知県東海市の「鋼鉄フェスティバルVol4 ANTHEM」の手法を踏襲して、徹底した感染対策で収容率50%以内、一席ずつ間隔を空けた配席でライブを実施することを決意したという。ボーカルの森川之雄は「声に出さなくていいから、拍手や腕挙げてくれたらステージには十分届くから」と話した。また、柴田は「参加ゲスト、スタッフと共に写真を撮りました。特別な場所だからグッときます」と言う。

聖地・クラブチッタ川崎でも、感染予防に配慮。腕とバルーンを振り上げる観客の熱気は、通常のライブを凌駕した。風物詩だった観客の歓声、斉唱の代わりに長い盛大な拍手が会場には鳴り響いた。

「オールスタンディングの時の4分の1くらいにキャパは激減していますから。チケット代を値上げしても、主催側は厳しい状況でしょう。マスクからシルバーアクセサリーまでオフィシャルグッズを多く企画販売して、即売など、顧客満足度の高い創意工夫に脱帽です」(音楽プロデューサー)

全曲通してステージで演奏したのは柴田とギターの清水昭男の2人。ボーカルは森川、ドラムスは若手実力派の田丸勇。ゲストにかつてのメンバーを迎えて、バンド、楽曲歴史を回顧しながら謝辞、祝辞がMCで交換された。コロナ禍でグラハムが入国できない悲劇も乗り越え、ツアーを終えた。7月23日には初のアコースティックライブを横浜ランドマークホールで開催するという。

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