【ボクシング】アマのホープ・堤麗斗が井上尚弥にエール

堤麗斗(トラロックエンターテインメント提供)

若き逸材がモンスターに期待を寄せている。

4月にポーランドで行われたAIBA世界ユース選手権の男子60キロ級で優勝した堤麗斗(18=東洋大)だ。高校6冠などを達成したアマの逸材の兄・駿斗(21=東洋大)が千葉・習志野高時代に成し遂げたのに続き、日本人2人目の快挙だった。

「兄と比べられる大会でもあったんで、いろんなプレッシャーもあったけど優勝できてよかった」と振り返る麗斗もまた、24年パリ五輪を目指す日本ボクシング界のホープだ。

ユース大会を目前にした3月に「ユースの選手で超える人はいないと思い、いい練習、経験になる」と、WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(28=大橋)とのスパーリングを自ら申し出て実現させた。

井上と何度かスパーを経験した兄から「左フックがやばいぞ」とアドバイスを受け、自身も「試合前にアゴとか鼻を折られてしまったら…」という究極の度胸試し。

実際に手合わせして「一瞬でも気を抜いたら一気にやられてしまうようなプレッシャーだった。終わった後もどっと疲れが来るような感じでした」と脅威を肌で感じた。

だが「来るか来ないかのギリギリのところでのプレッシャーは、相手からしたらずっと息詰まる。自分も自ら攻めていくことが多いんで、プレッシャーの掛け方は吸収すべきところだった」とリスク以上に大きな収穫を得た。

迎えた本番は「あれほどの圧や体の強さがある選手はユースにはいなくて、本番も想定より下回っていた。相手の攻めを冷静に見切れた」と快挙につなげた。

それだけではなく「尚弥さんも試合前だったのに、お礼を言いに行ったら『試合頑張ってね』と逆に励まされた。試合前の選手はピリピリしていてそういう気遣いは難しいんじゃないかなと思うんですが、人間的にも尊敬できる人と感じた」と井上の振る舞いにも感じるものがあったという。

そんな井上は19日(日本時間20日)に米ラスベガスで防衛戦に臨むが「ボクシングの人気は昔は下がっていたが、今は国民的スターの尚弥さんを中心として戻ってきつつある。国民の方がボクシングが面白いなと思えるような試合が見たい」と大きな期待を込めてエールを送った。

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