新垣結衣が初出演するNHK大河ゆかりの地・佐助稲荷神社 源頼朝の背中を押したパワースポットだ

ちまたでは星野源との結婚を発表したガッキーこと新垣結衣の話題は尽きません。そのガッキーがNHK大河ドラマに初出演する「鎌倉殿の13人」(作・三谷幸喜)ゆかりの地「佐助稲荷神社」を知っていますか。その稲荷神社は、JR鎌倉駅から徒歩20分程度のところにある「佐助」という場所にあります。かつては佐介ガ谷、あるいは佐助ガ谷と呼ばれていた場所だそうで、先には有名な銭洗弁財天がありますが「佐助稲荷神社」の辺りは静かな住宅地です。

2022年に放送されるこのドラマの主演は、北条義時を演じる小栗旬ですが、ガッキーは大泉洋が演じる鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝の最初の妻・八重姫として登場します。八重姫の父・義朝は、平治の乱で敗れたため伊豆に流された頼朝の監視役・伊東祐親です。八重姫は三女で頼朝の初子・千鶴御前(千鶴丸)の母となる人物と伝わっています。

実はこの「佐助稲荷神社」は、社伝などによると伊豆に流されていた際、病気で伏せっていた頼朝がみた夢のお礼で建てられたといわれています。ある日、頼朝の夢に3日続けて「隠れ里の稲荷」と名乗る老人が現れ「源氏の嫡流として打倒平氏の兵を挙げろ。何かあれば助けてやる」と促しました。その言葉に背中を押された頼朝は挙兵。紆余(うよ)曲折の末、1185年壇ノ浦の戦いで平家を滅ぼしたという話が伝わっています。まさに、天下を覆す力を与えてくれた究極のパワースポットで、別名「出世稲荷」とも呼ばれているそうです。

頼朝は平家を滅亡させ、征夷大将軍に登り詰めたお礼として部下の畠山重忠に命じて「隠れ里の祠」を探し当てました。そして、再建させたのがこの「佐助稲荷神社」です。脇に赤いのぼり旗が立ち並んだ、赤い鳥居をくぐり階段を上がった先に本殿があります。それを少し登った場所には、今も鳥居が建てられていた洞穴のような塚が存在しており、これが「隠れ里の祠」でしょう。「隠れ里」については、鎌倉幕府の記録で、日記の体裁をとった史書『吾妻鏡』にも記述があります。

名前にある「佐助」は頼朝にちなんでいます。諸説ありますが頼朝は若い時代、京都で「右兵衛権佐」の職に就いており「佐殿(すけどの)」と呼ばれていました。その「佐殿」を助けて稲荷であることから「佐助稲荷神社」と呼ばれるようになったという話が一般的です。

この神社には、開山良忠上人が子ギツネを助けたお礼として、親ギツネからもらった薬の種が多くの人の病気を治したという話があり、白狐(びゃっこ)をお供えして願掛けをします。今更、天下を取る大望や出世を願うなどありません。ましてやガッキーのような美女を娶(めと)ることは臨むべくもありません。でも、私も少し御利益にあやかるため、福を招く「白狐守り」をいただきましたが、さて…。

(デイリースポーツ・今野 良彦)

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