感震ブレーカー普及へ、設置補助を検討 海老名市

 海老名市は大規模地震で発生が懸念される電気火災について、予防に有効とされる感震ブレーカーの普及に向けた取り組みを始める。市内の設置状況などを確認し、補助金の必要性を検討するため、2016年度当初予算案に調査費約85万円を計上した。

 感震ブレーカーは設定値以上の揺れを感知すると、自動的に電気の供給を遮断する防災機器。1995年の阪神大震災の被害を検証した専門家が必要性を指摘したが普及に至らず、2011年の東日本大震災でも電気火災が多発した。

 こうした教訓を踏まえて国は15年2月、感震ブレーカーのガイドラインを作成、普及の取り組みを自治体に求めた。ガイドラインや検討報告書によると、周知不足などで現在の感震ブレーカーの普及率は6・6%と推計される。

 海老名市内では、関東大震災クラスで約2330棟の火災が想定されている。これまでの感震ブレーカーは、分電盤型で価格は数万円が多かったが、近年は工事不要で3千〜4千円の簡易型が商品化されている。市は16年度に市民アンケートを実施して設置の有無や意向を調べ、補助金の必要性などを判断する。

 市危機管理課は「感震ブレーカーの市内普及率は不明だが、低いと思われる。地震対策におけるブレーカーの扱いについては、自宅からの避難時に落とすよう呼び掛けるにとどまっていた。各家庭への設置によって対策を強化したい」と説明している。

 県内の感震ブレーカーの普及に向けた取り組みとしては、横浜市が13年度に補助金制度を創設、15年度は簡易型を含めて約2300件の申し込みがあった。

 また、県は火災による死者を減らすため、今年3月中に策定する地震防災戦略の改定案に設置率を10%に引き上げる目標を掲げた。

 東日本大震災では地震型火災163件のうち、約6割の108件が電気火災とされる。出火状況別では、本震の揺れでは「使用中の電気器具の破損・転倒」が47件、その後の余震時は「停電復旧後に出火」が21件でそれぞれ最多だった。

 これに対して炊事場のコンロなどガスに起因する出火は6件。揺れでガスの供給が自動停止するマイコンメーターがほぼ100%普及していたために少なかったとみられている。

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