DeNA、9回7得点の猛追も悔やまれる1点の重み 指揮官の無念「失点を1点でも少なく…」

DeNA・三浦大輔監督【写真:荒川祐史】

4回の得点機で投手に代打送れず、そこから流れは傾いた

■広島 12ー11 DeNA(19日・東京ドーム)

DeNAは19日、東京ドームで行われた広島戦で、8点ビハインドの9回に7点を奪って食い下がったが、あと一歩及ばず11-12で惜敗した。本拠地・横浜スタジアムが東京五輪の野球・ソフトボール会場となるため当面使用できず、前日の18日から東京ドームを借りて主催試合を行っているが、いまだ白星を挙げられていない。セ・リーグ最下位の座をめぐる広島との直接対決に連敗し、「惜しかった」で満足してはいられない状況がある。

めったに見られない猛追劇ではあった。4-12で迎えた9回。この回から登板した広島3番手の左腕・高橋樹に対し、先頭の大和は三邪飛に倒れて1死。ところが、続く柴田の一ゴロを一塁手・堂林がファンブルし、出塁したことが発火点となった。桑原の四球、細川の遊撃内野安打で満塁とし、佐野は浅い左飛に倒れたものの、オースティンが押し出し四球。宮崎が左中間席へ起死回生の6号満塁弾を放った。

とはいえ、まだ3点差。既に2死で走者はいなくなった。それでもさらに粘る。ソトが中前打を放ち、相手の守護神・栗林を引きずり出した。しかも、その栗林から楠本が左翼フェンス直撃の適時二塁打を奪い、2点差。この回2度目の打席となった大和も、しぶとく三遊間を抜き、二塁走者を迎え入れて1点差に迫った。一転、1発逆転サヨナラの場面となったが、柴田は一ゴロに倒れ大逆転劇は幻に終わった。

試合後、スタンドへあいさつするナインに、4898人の観客から惜しみない拍手が送られた。三浦監督は「みんな集中して、誰1人諦めずに戦っていた」とうなずいた。だが、最終的にわずか1点届かなかったからこそ、それまでに不用意に奪われた1点、チャンスを作りながら取れなかった1点が惜しまれる。

先発メインの京山を4回からリリーフで起用、好機で代打を送れず

先発のピープルズは、3-3の同点で迎えた3回、無死一、三塁で林に対し初球を投げた瞬間、腰に激痛が走りグランド上に倒れ込んだ。トレーナーと木塚投手コーチに両肩を支えられ退場。急きょ2番手として櫻井がマウンドに上がったが、林に勝ち越し適時打、坂倉に犠飛を許した。

その後、京山、三上、石田、砂田とつないだが、5回以降毎回失点。三浦監督も「(中継ぎ陣が)ああいうところをしっかり止めていかないと。失点を1点でも少なくしておけば、打線の状態いいのだから……」と悔やんでも悔やみ切れない表情だった。

指揮官の采配にも誤算はあった。4回から、今季5試合の登板が全て先発だった京山をリリーフで投入。京山はその裏の攻撃で、2点ビハインドの2死一、三塁で打順が回り、そのまま打席に入って二ゴロに倒れた。

三浦監督は「まだ前半で、こちらとしては3人目の投手。(長いイニングを)引っ張ってもらわないと困る。点差も考えて打席に立たせた」と説明したが、結果的に、この得点機を逃したことが後々響いた。

それまで2発を浴びるなど本調子ではなかった相手先発の森下は、続く5回に桑原、伊藤光、佐野を3者三振に仕留める別人のような投球。これを境に7回まで1人の走者も許さず、7回3失点のまとめて降板した。対照的に京山は5、6回に1点ずつ失い、試合の流れは大きく傾いた。

DeNAが2012年に球団を買収した当初も中畑清監督の下で、前半に投手陣が大量失点し、打線が終盤に猛追するものの「あと1歩届かない」試合が多かった。その後、日本シリーズに進出するなどチーム力を上げたが、三浦監督初年度の今季は1周回って新たなチーム作りを求めらているのが現状だ。

交流戦では球団史上最高タイの3位に入り上昇気流の乗ったかに見えたが、セ・リーグ同士の戦いが再開された途端の連敗。いかに投手陣を建て直し「あと1歩」から抜け出すか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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