巨人・原監督の「マジック」に審判団が困惑…場内説明なく甲子園は騒然

原監督の交代を飯塚球審が認めずひと悶着が起きた。右は桑田投手コーチ補佐

巨人・原辰徳監督(62)が20日の阪神戦(甲子園)で打った〝勝負手〟に審判団が困惑するひと幕があった。

場面は2―1で最少リードで迎えた7回裏。二死二、三塁となり、一打で同点、さらには逆転される大ピンチに陥った。阪神サイドは、2番でスタメン出場した中野に代打・北條を送り、カウント2―2となったところで今度は原監督が動いた。球審に何事かを告げると審判団が集まって協議を始め、再びベンチを出た原監督の申告によって高梨から鍵谷への投手交代が成立した。

相手の打席途中で投手を代えることは原采配の中では、ごくマレに繰り出す〝奥の手〟ではあるが、審判団から場内へのアナウンスもなかったため、一連のやり取りに両軍のファンは「?マーク」だらけで一時騒然となった。

試合後、この試合の責任審判だった丹波二塁塁審が報道陣に説明したところによると、審判員で確認したのは巨人・桑田投手チーフコーチ補佐がマウンドに向かったタイミングについて。投手コーチがマウンドに行く場合、同一打者の間であれば投手を代えられない規定があり「マウンドに桑田コーチが行ったのが『打者・北條』の時と思って、最初(原監督の投手交代を球審が)断ったんです」とした。

ただ、実際には桑田コーチが1度目にマウンドへ向かったのは、北條が代打に告げられる直前の中野の打席でのこと。これらを審判団で確認し「実際は『打者・中野』の状態の時に桑田コーチが(マウンドへ)行っているんで。同一打者に当たらないんで、代えられるんですね」と説明した。

とにもかくにも、球場全体がモヤモヤする中で登板した鍵谷は、1球で北條を空振り三振に仕留め、猛虎の反撃を断ち切った。巨人の宮本投手チーフコーチは「あの場面、バッターは真っすぐに絞るしかないだろうし、鍵谷が切れのいいスライダーを投げてくれた。あのへんは『原マジック』ですよね」と脱帽するばかりだった。

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