中学生拉致殺害事件から25年 「風化させてはいけない」 支援者らが清掃活動

 【国頭】1996年6月、沖縄県名護市で下校中の女子中学生=当時(15)=が拉致殺害された事件から21日で25年になる。20日、国頭村内の遺体発見現場に建立された観音像には、青少年育成ボランティア団体「子ども達を守る会・花」(宮里文博会長)や県警OBら約10人が訪れ、清掃活動を実施した。命の尊さや子どもたちを守ることを伝えるため、事件の風化を防ごうとする動きも広がっている。

 観音像とその周辺は、遺族や「守る会・花」が管理、保全してきた。例年、清掃を実施している。ここ数年は、名護署なども清掃や献花をするようになった。今回は新型コロナウイルスの影響で参加はなかった。

 元警察官の菊地清栄さん(64)は「事件を風化させてはいけない」との思いで清掃に参加した。事件当時、犯行車両の捜索に当たった。5年ほど前、奥駐在所に赴任した際、観音像の存在を知り、観音像の保全に携わるようになった。妻の一美さん(62)は「被害生徒と同じ年の娘がいる。人ごととは思えない」と話した。

 「守る会・花」の宮里会長は事件当時、生徒の捜索に参加し、観音像の建立に尽力した。宮里会長は「昨日のことのように覚えている。二度と同じような事件が起きてはならない」と語った。

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