神奈川・小田原のサル「H群」、ついに全頭駆除へ 車たたき、住民威嚇…被害半年で4千件「管理困難」 

住宅の庭に出没する「H群」のニホンザル(小田原市提供)

 1970年代から神奈川県小田原市の南西部に住み着き、周辺住民を長年悩ませてきたニホンザルの群れ「H群」について、県が新たに「管理困難な群れ」と認定し、同市が全頭捕獲による完全駆除に乗り出すことが20日までに分かった。市内で住民生活を脅かしてきたサルの“二大派閥”の一角で、被害は昨年半年で約4千件近くに上る。小学生の通学路にも出没し、市は「放置すればいずれ人間に危害を加えるようになる」と危機感を募らせる。

 「何をされるか分からないし、もうサルは見たくない…」。相模湾を望み、ミカン畑の並ぶ同市江之浦の丘陵地。住宅地まで出没するサルの群れに住民女性(73)は頭を抱える。「早朝から車の上にサルが乗ってバンバンたたいている。ごみ出しの時も目を合わせないようにしている」とおびえた毎日を過ごす。

 市環境保護課によると、H群は早川、片浦地区を中心に19匹が生息。50年代には湯河原町の山中に生息し、同町の「広河原」の地名から「H群」と名付けられた。過去には人に餌付けされて約50匹にも及ぶ群れに拡大し、75年ごろから同市西部に移り住むようになったとみられる。

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