【日本薬剤師会】“反復利用処方箋”を評価/骨太方針への見解示す

【2021.06.21配信】日本薬剤師会は6月18日、 骨太の方針(「経済財政運営と改革の基本方針 2021」)の閣議決定を受けて、考え方を公表した。「一定期間内に処方箋を反復利用できる方策」の記述を評価する一方、後発医薬品については品質と安定供給が第一だと指摘。さらに、緊急避妊薬については、「医薬品の区分を問わず、薬剤師の関与の下での適正使用、安全使用が担保できる仕組みが不可欠」とした。

公表資料の中ではまず、基本方針において新型コロナウイルス感染症を踏まえ、感染症で顕在化した課題等を克服するための経済・財政の一体改革の目指す姿及び具体事項が示されていることを説明。

その上で、「医師及び薬剤師の適切な連携による『一定期間内に処方箋を反復利用できる方策』は、 本会が提言する再使用可能処方箋の導入と基本的に軌を一にするものであり、かかりつけ薬剤師・薬局の普及、多剤・重複投薬防止への取組とあわせ、薬剤師の職能が認知・期待されたものと認識しており、ご尽力いただいた関係方面の皆様に厚く御礼申し上げま すとともに、これらの取組を通じて、さらなる医薬連携の充実と薬物療法の質の向上に努めていく所存です」とした。

一方、後発医薬品の使用促進については、「新目標及び後発医薬品調剤体制加算の見直しの検討等に言及されています」と説明した上で、「しかしながら、使用促進に係る薬剤師の努力や医師の協力により国の目標とする 80%が目前に迫る中、それらを一瞬にして灰塵に帰するような不祥事が発覚し、我が国における後発医薬品への信頼が大きく損なわれるとともに、医薬品供給体制の脆弱さも露呈しました。本会は今後も後発医薬品の普及に取り組んでいく所存ですが、それを実効性あるものにするためには、製薬企業において、品質・有効性・安全性 が確保された後発医薬品が不足なく供給されるよう、品質確保・安定供給に最優先で取り組むべきと考えます」とした。

また薬価制度に関しては、「革新的な新薬におけるイノベーションの 評価など、優れた医薬品の開発が活発になる制度となることを期待するとともに、国民が 安心して医療を受けられるよう、必要な医薬品が保険制度の中で使用できる環境が必要 と認識しています」とした。

緊急避妊薬の記載に関してもコメント。
「女性の活躍推進に関連した緊急避妊薬へのアクセスについては、薬局から適切に供給できるよう、現行制度下においても、オンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤に関する 研修を全国で進めており、必要とされる方への供給に支障がないよう体制整備に取り組んでいます。国民が安全に医薬品を使用するためには、医薬品の区分を問わず、薬剤師の関与の下での適正使用、安全使用が担保できる仕組みが不可欠であり、薬剤師は医薬品の安全かつ安心な使用や適正使用、重症化予防、そして健康づくりに、より一層貢献していく所存です」とした。

また、感染症蔓延下の薬剤師の貢献に触れた。
「薬局・薬剤師としては、今般の感染症にあたり、地域医療の維持、地域住民の健康を守るため、徹底した感染対策の上で薬局機能の維持に邁進してまいりました。さらに喫緊の課題である国民への早期ワクチン接種については、薬学的知見及び業務の専門性・ 経験を最大限活かし、他の医療関係職種や行政と連携して、迅速な接種体制の確保に向け 今後も全力で取り組んで参ります」とした。

最後に、以下を記述した。
「基本方針を踏まえ、持続可能な社会保障の実現に向けた全世代型社会保障改革、並びに感染症を機に新たに進める社会保障改革の様々な取組の実行にあたって、本会は国民のニ ーズを踏まえ、地域医療提供体制、地域への医薬品提供体制、保健・公衆衛生サービス提 供体制の向上に向け、より積極的な取組を推進してまいります。今後も引き続き、社会から寄せられる期待に的確に応え、薬剤師としての矜恃をもってその責務を果たし、真に国 民から信頼される薬剤師業務を遂行すべく努めていく所存です」

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