“最下位攻防”3タテ逃れた非情采配の真意 DeNA三浦監督「いたしかたないかなと」

DeNA・三浦大輔監督【写真:荒川祐史】

12球団ワーストのチーム防御率、先発投手陣の建て直し急務

■DeNA 10ー8 広島(20日・東京ドーム)

DeNAは20日、東京ドームで行われた広島戦に10-8で打ち勝った。球団史上最高タイの3位と健闘した交流戦後、3試合目にしての初勝利だ。“セ・リーグ最下位攻防3連戦”で辛くも3タテを免れ、5位・広島との差を1.5ゲームにとどめた裏には、三浦大輔監督の非情采配があった。

この日の先発は、2年目左腕の坂本裕哉投手。8-0と大量リードして責任投球回の5回を迎え、今季2勝目は堅いかに見えた。

ところが、先頭の2年目捕手・石原にプロ初本塁打を献上。1死後、菊池涼と野間に連続で不運な内野安打を許すと、小園に右翼線へ適時二塁打を浴びた。さらに鈴木誠に中犠飛、続く林にも中前適時打され、あっという間に4点を失った。それでも、まだ4点リードがあり、2死一塁。勝利投手の権利を得るまであと1死と迫っていたのだが、三浦監督は坂本に降板を命じた。次打者は左打者の坂倉だったが、あえて左腕の坂本から右腕の伊勢にスイッチした。

「いたしかたないかなと。本人もわかっていると思います。もちろん、あの回を投げ切って……という思いはこちらにもありましたが、チームで戦っている以上、あそこが限界と判断しました」。三浦監督は試合後、キッパリ言い切った。

投手陣再整備を期待された三浦監督、苦悩どこまで続く…

今季のDeNAは、極端な打高投低である。20日現在、チーム打率は両リーグを通じトップの広島にわずか「3毛差」の.2567(2位)。対照的に、チーム防御率は同ワーストの4.86。とりわけ手薄な先発陣の建て直しは急務だ。ルーキーイヤーの昨季4勝(1敗)を挙げ成長が期待される坂本には、目先の1勝を取らせるより、先発投手としての責任感を肝に銘じさせたかったのではないだろうか。

この日は、救援陣が満を持して控えていた事情もあった。7回・エスコバー、8回・山崎、9回・三嶋の“勝利の方程式3人衆”は、交流戦明け4日間のインターバルに加え、前々日と前日も登板機会がなく、「間隔が空いていたので、7、8、9回には行くという話をしていました」(三浦監督)。

それにしても、この3連戦を通じてDeNAの先発投手は壊滅状態だった。初戦は浜口が今季最短の3回途中で7失点KO。2戦目もピープルズが3回途中までに4点を失った上、腰を痛めて緊急降板した。「先発投手はここ3試合、役割を果たせなかった。来週は頑張ってもらわないといけないと思います」と顔をしかめた。

指揮官自身、長年“ベイスターズ暗黒時代”に奮闘してきたエース。投手陣の整備を期待された監督就任1年目から悪戦苦闘が続いている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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