CAの不妊治療事情って?シフト勤務との両立やJAL、ANAの不妊治療に使える休暇制度について

CAの不妊治療事情とは?

【妊活カウンセラー】まつもと彩乃です。
夫の転勤でCAを退社後、主婦期間を経てキャリア研修会社に勤務しています。

 

私は自身のつらかった不妊経験が誰かの役に立つかもしれない、と、NPO法人Fine認定不妊ピア・カウンセラー資格を取得し、妊活・不妊治療に悩む人の伴走者として相談業務などを行っています。

 

実は5.5組に1組のカップルが不妊治療を行っているというデータがあります。そして年々増え続けているのです。そこには様々な社会的要因、環境的要因が潜んでいると言われています。晩婚化や病気の影響、ストレスやセックスレスなど様々な問題が影響しているそうです。

 

前回のコラムでは私の不妊治療体験談についてご紹介させていただきました。私の治療期間は、フルタイムで働いていたものの、「フレックスタイム制」であったり同僚の理解があったおかげで、治療と仕事の両立は何とかこなすことができていました。

 

しかしながら、CA(客室乗務員)の仕事をしながらの不妊治療は本当に大変だと思います。

 

今回はそんなCAの不妊治療事情についてお話いたします。

 

 

急に「明日来てください」と言われる

特に高度生殖医療と呼ばれる体外受精、顕微授精をするようになると、一般的に頻回通院となりますし、卵子の様子を細かく見るために「明日来て」と急に通院の予定が入ることもあります。

 

また、ホルモン注射のためだけに通院し、2時間待つようなこともあります。

 

そして採卵周期は治療方法によっては、ホルモンを充填し、卵巣に複数の卵子を育てるためおなかがパンパンで苦しくなります。そんな中のフライトや立ち仕事は本当に負担が大きいと思います。

 

また、移植後はできるだけ安静にしていたいものですが、仕事となるとそうは言っていられません。友人には移植後、そのままバンコクへ行った、をいうツワモノもいます。

 

時差、冷え、CAならではの産休制度

また、私の不妊治療体験談でもお伝えしましたが、客室乗務員は「妊娠確定」したその瞬間から産休に入ることができます。

 

裏を返せば、私のようにとても悲しい「流産」という結果になったとしても、すでに産休に入っているためグループメンバーには周知されてしまっており、悲しい気持ちを持ったままそのグループに戻らなくてはいけないのです。

 

これは本当につらいことだと思います。

 

そして私もそうだったのですが、長距離フライトが入っている月は時差の関係なのか生理が遅れることも珍しくありません。

 

機内食の保冷のために空気冷却システムの効いたギャレー(機内のキッチン)での作業がありどうしても身体が冷えてしまいやすいなど、CAという仕事と妊活は相性がいいとは言いにくいのです。

 

そんな背景の中、JAL、ANAをはじめ不妊治療に利用することができる休暇制度を導入する企業も増えてきています。

 

次のページ:JALの「不妊休職制度」、ANAも導入した「サバティカル休暇制度」とは?

 

 

JALの「不妊治療休職制度」

JAL(日本航空)では2016年から「不妊治療休職制度」というものが導入されました。高度生殖医療(体外受精、顕微授精)を行う場合、最長1年間休職することができるという制度で、利用は1人につき1回限り、男女とも利用可能です。

 

休職期間は無給ですが、腰を据えて治療に向き合うことができます。しかし1年という期間は案外短く、計画的にとることが大切だと思います。妊活し始めてすぐお休みするのではなく、ぜひ検査など終えて、今月から採卵する、というタイミングで休暇を取得されることをお勧めします。また、申請には様々な基準があり、それを満たしている人のみ取得が可能となるそうです。

 

ANAでも導入されている「サバティカル休暇制度」

最近では理由を問わず長期休職できる「サバティカル休暇」という制度を導入する企業も増えています。

 

ANAでも2021年4月から導入が開始され、取得期間は1〜5カ月の1カ月単位と1年、1年半、2年から選ぶことができると言います。不妊治療はとてもプライベートなことですし、「言いたくないから不妊治療休職は取れない」という方もいらっしゃると思います。その点、休暇を取るために理由を言わなくてよいのは、当事者にとってストレスの軽減に繋がります。

 

 

妊活とキャリアを両立しやすい社会を目指して

また、ある企業では「エフ休」「エル休」など、不妊治療だけでなく女性のヘルスケアサポートをパッケージ化しての休暇制度を導入しているそうです。

 

企業にとっては働き盛りの女性社員が不妊治療を理由に退職する「不妊離職」は避けたいところ。

 

ぜひ、当事者にとって利用しやすい制度を整えると同時に、利用しやすい企業や社会の風土の醸成をかなえていっていただきたいと願います。

 

 

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