【東京五輪】専門家の提言無視した有観客開催で〝自粛破り〟加速へ

有観客開催が決まった東京五輪

専門家の提言を無視した東京五輪の有観客開催決定により、〝自粛破り〟の動きが一気に拡大しそうだ。

東京五輪に向けて組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)、日本政府、東京都、国際パラリンピック委員会(IPC)が21日に5者協議を開催し、大会の観客上限を会場定員の50%以内で最大1万人とすることを正式に決定。また開会式は観客1万人に加え、大会関係者用の特別枠を1万人程度とする方向で調整している。

この決定は新型コロナウイルス感染対策の専門家による提言を完全無視したものだ。18日に政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志による大会開催のリスクに関する提言が行われ「無観客が最も感染リスクが少なく望ましい」と無観客開催を強く求めたが、主催者側はまるで何ごともなかったかのようにスルー〟した。

政府を含めた大会主催者側が〝専門家の提言は意味なし〟と断じたことで、ネット上では怒りの声が爆発している。

「東京増加傾向の事実も専門家の意見も無視して狂気の政権が突っ走る」「1万、2万人入れて安全というなら蔓延防止解除で良くない?」「もう自粛がバカらしいわ」と怒りの声は尽きない。

政府や東京都などは緊急事態宣言の解除後も引き続き飲食店への時短要請などの制限は残ったままで、五輪期間中のテレワーク要請など国民に様々な面で自粛を求めている。そうした規制の根幹となっている専門家の見解を無視したことで国民の間に〝もう守らなくていい〟との認識が広まるのは当然と言えよう。

尾身会長は提言の際に東京五輪の有観客開催は「感染対策に矛盾したメッセージとなるリスクがある」と警鐘を鳴らしたが、まさにその懸念が現実のものになろうとしている。五輪の有観客開催決定で〝自粛破り〟が急加速することになりそうだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社