コロナ禍に手を取り合おう 聖火ランナーの医師・原さん 諫早・上山小で講演

トーチを手に講演する原さん=諫早市立上山小

 東京五輪・パラリンピックの長崎県内聖火ランナーを務めた愛野記念病院(雲仙市)呼吸器内科専門医の原信太郎さん(42)が18日、諫早市立上山小(立山大喜校長)で5、6年生に講演。緩和ケア医や認定臨床宗教師としての経験を通して命の大切さや聖火に込めた思いを語り、コロナ禍での心の持ちようについて「手を取り合い、困難を乗り越えていく気持ちを持ってほしい」と呼び掛けた。
 「長崎っ子の心をみつめる教育週間」の取り組みの一環。聖火リレーで使ったトーチを前に、聖火ランナーのユニホーム姿で講演した。
 終末期のがん患者に寄り添っている原さんは、「がんなどで体がいうことをきかなくなると、自分は生きている価値がないと思ってしまう。人間の存在と意味を支えていた三つの柱(時間、関係、自律)のいずれかの柱が失われることで、苦しみが生まれる。それは誰にでもやってくる」と強調。人生には避けて通れない苦しみが必ずあるとして、自分や周りの人がそうなったとき、何ができるか考えてほしいと求めた。
 その上で、コロナ禍で怖さ、不安、焦りが広がり、それが感染者や医療従事者への誹謗(ひぼう)中傷につながっていると指摘。「苦しんでいるのは自分だけではない。希望を持って困難と向き合い、乗り越えてほしい。他人への思いやりを持ってほしい」と語った。

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