TCRヨーロッパ第3戦は好調コロネルが地元初戦を制覇。フランコ・ジロラミもシリーズ初優勝

 WTCR世界ツーリングカー・カップを頂点に戴くTCR規定ツーリングカーの欧州地域最高峰、TCRヨーロッパ・シリーズの第3戦が6月18~20日にザントフールトで開催され、レース1ではポールシッターのジャック・ヤング(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/ブルータル・フィッシュ・レーシング)を逆転したコムトゥユー・レーシングのトム・コロネル(アウディRS3 LMS)が今季初勝利を飾り、地元オランダで歓喜のお立ち台に登壇。

 日曜レース2はPSSレーシングのフランコ・ジロラミ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)がシリーズ初優勝を挙げ、欠席のミケル・アズコナ(クプラ・レオン・コンペティションTCR)に代わり新たなポイントリーダーに立った。

 第2戦のフランスでパーフェクトを達成した、チーム・クレーレ・スポーツのテディ&ジミー兄弟がサクセスウエイトの重量増に苦しむなか、この週末にFP1から速さを披露したのがアウディ勢。地の利を活かしたコロネルがシリーズ復帰組の僚友ドゥサン・ボルコビッチ(アウディRS3 LMS)を従えてワン・ツーを記録すると、続くFP2ではホンダに乗るジロラミや、今季JASの開発ドライバーを務めるヤングがトップ3に入るなど、週末の結果を予感させる顔ぶれとなった。

 予選でもそのアウディとホンダが激しい鍔迫り合いを演じ「最初のラップでポールには充分だと思った」と自信を見せたヤングに対し、セッション終盤でコロネルが100分の1秒差でタイムを更新。これに反応したヤングは、チェッカーに向け最後のフライングラップに入ると0.081差で再逆転に成功。自身初のポールポジションを手にした。

「ここはとてもタイトだし、まるでNASCARのようなバンクもあってレースは少し厄介になると思う。でも僕はこのトラックが大好きだから、最後まで懸命にプッシュするつもりだ」と語ったヤングが順当にレース1のホールショットを奪うと、2列目4番手から好発進を見せたニコラス・ベアト(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・レーシング)を筆頭に、コロネル、ボルコビッチと3台のアウディがシビックの背後を追う。

 すると3周目のターン10でチームメイトのインに潜り込んだコロネルが、立ち上がりでわずかに接触しながらベアトを押し出す形で前へ。この攻防でボルコビッチに先行され再び3番手となったコロネルだが、最終バンクのスリップストリームから続くセクター1でポジションを取り戻すと、ここからファステストを連発してヤングを追走し、8周目にはテール・トゥ・ノーズの状態へと持ち込んでいく。

レース1では2列目4番手から好発進を見せたニコラス・ベアト(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)を筆頭に、コロネル、ボルコビッチと3台のアウディがシビックの背後を追う
複合のターン9でインサイドラインを選択したコロネルは、クロスラインを意識したヤングの反撃を抑え込み、首位浮上に成功する
「『ストレートエンドでシビックを抜くのは不可能』だと感じていた」と、コーナーワークで見事な逆転劇を披露した

■レース2はジロラミが好ダッシュを決め優勝&シリーズ首位に立つ

 そして複合のターン9でインサイドラインを選択したコロネルは、クロスラインを意識したヤングの反撃を抑え込み首位浮上に成功。そのまま13周を走破してトップチェッカーをくぐり、隅々まで知り尽くしたサーキットで今季初勝利を手にした。

「ホームのファンのためにも大量スコアを獲得したい重要なレースだと思っていたし、もちろんこのトラックのことは細部まですべて承知している」と、レース後に語ったコロネル。

「ここでは毎週のようにドライブしているし、月曜にも2時間レースを戦う予定でいるんだ。ベアトとの一件は、彼が僕を認識してどこにいるかを把握していると思ったので、本当に残念だった」と続けたコロネル。

「その後、ボルコビッチの前に出てホンダを追ったが、彼が複合セクションで苦しんでいるのが理解できた。僕もこれまで数多くホンダをドライブしてきたし、最高速トラップを見ても『ストレートエンドでシビックを抜くのは不可能』だと感じていた。ワンチャンスに“叩き込む”ことができて良かったし、彼はとてもスマートだったよ」

 続いて日曜午後13時過ぎにスタートしたレース2は、リバースグリッドの4番手から発進したジロラミがダッシュを決め、逆ポールのセバスチャン・ローブ・レーシング(SLR)サミ・タウフィク(ヒュンダイ・エラントラN TCR)や、同じくフロントロウのニールス・ラングフェルド(ヒュンダイ・エラントラN TCR)らを立て続けにかわして、2周目で早くも首位浮上に成功する。

 直後にセーフティカーが導入されたものの、リスタートでも後続の挑戦を退けたジロラミは、開幕戦の自己最上位3位表彰台を更新する勝利を飾り、2位にラングフェルド、3位にイシドロ・カジェハス(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/ブルータル・フィッシュ・レーシング)が続くポディウムとなった。

 これで、ランキング首位のアズコナを逆転したジロラミが154点で自身初のシリーズ首位に立ち、同3位にコロネルが続くオーダーとなったTCRヨーロッパ・シリーズ。続く第4戦は、7月30~31日にベルギーのスパ・フランコルシャンで争われる。

R2はSebastien Loeb Racing(セバスチャン・ローブ・レーシング/SLR)サミ・タウフィク(ヒュンダイ・エラントラN TCR)や、ニールス・ラングフェルドらがリバースのフロントロウからスタート
そんなヒュンダイ・エラントラN TCR軍団を撃破したフランコ・ジロラミ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)が、待望のシリーズ初優勝を挙げた
「本当に信じられない。PSSレーシング、JAS、ホンダファミリー、アルゼンチン、そして兄のネストールやガールフレンドに感謝したい」とフランコ

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