キユーピー開発の独自素材で新型コロナウイルス不活化 松本哲哉教授と共同開発

 キユーピー(東京都)は、卵白に含まれるタンパク質の一つ、卵白リゾチームを加熱して変性した「加熱変性リゾチーム」が、新型コロナウイルスを不活化することを確認したと発表した。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授および帯広畜産大学との共同研究によるもので、特許出願中だという。

20秒で99.5%以上不活化、5分で検出限界以下に

【グラフ1】1%加熱変性リゾチームと20秒間反応させた新型コロナウイルスの力価1%加熱変性リゾチームとの反応によりウイルス力価の低下が認められた。
【グラフ2】0.25~1%の加熱変性リゾチームと5分間反応させた新型コロナウイルスの力価加熱変性リゾチームとの反応により濃度依存的なウイルス力価の低下が認められた。

 キユーピーグループは、国内の鶏卵生産量の約1割を取り扱う食品メーカーとして、かねてより卵に関する研究に取り組んできた。加熱変性リゾチームについては、東京海洋大学との共同研究でヒトノロウイルス、新型ヒトノロウイルス、A型肝炎ウイルスの不活化を確認している。今回の研究では、濃度1%の加熱変性リゾチームを用いると、新型コロナウイルスが20秒で99.5%以上という高い割合で不活化されることが分かったという。

 なお新型コロナウイルスはアルコールによる不活化が既に確認され、多数の消毒液が市場に出回っているが、肌荒れやアレルギーなどで使用できない場面もある。加熱変性リゾチームにはそのような可能性はなく、より広く普及できる可能性が高い。共同研究者の国際医療福祉大学 医学部感染症学 松本 哲哉主任教授は「加熱変性リゾチームは鶏卵の抽出物であり安全性も備えている点で、新型コロナウイルスの感染対策上の意義は大きい」と述べている。

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