三条市立大学(新潟県三条市)が8月から毎月「知的ものづくりセミナー」を学外へ向けて開催

アハメド・シャハリアル学長

三条市立大学(新潟県三条市)と三条商工会議所は22日、8月から毎月、大学が持つ知識を地域や地場企業へ広く発信する「知的ものづくりセミナー」を開催することを発表した。

三条市立大学は、機械工学を中心としながら、情報制御工学や経営学など工学系に留まらない多様な専門分野を融合的に学習できる環境と、学習内容を実戦へ反映させるための、地場企業へのインターンシップを取り入れたカリキュラムを特徴としている。

今回は大学が持つ知的資源を地域へ広く発信すると同時に、地域と企業からも大学にアプローチしやすい環境を作るための取り組みとして、地元の三条商工会議所と連携し同校の全教員によるリレー形式のセミナーを開催する。

三条商工会議所の兼古耕一会頭(株式会社兼古製作所 代表取締役)

三条市立大学 共和松井ホール

セミナーは毎月1回のペースで、毎回2人の教員が登壇。それぞれが専門分野を解説したのち、アハメド・シャハリアル学長も交えたトークセッションを行うプログラムだ。

初回となる9月28日の講演は、高橋史明教授による「音楽は振動」と金子覚教授の「すべるはなし」の2テーマ。両名ともに専門である機械工学を、音楽と摩擦という身近な視点から解説する。10月以降も、研磨やセラミックといった地場産業に関わりの深い分野や、ビッグデータの解き方など、大学の在り方を反映した幅広い話題を取り扱う。

また、本開催に先立つ8月3日には、「オープニングセミナー」としてシャハリアル学長が「三条市立大学が地域にもたらすもの」をテーマに講演する。

今回の取り組みは一般的な公開講座のように完全に学術的なものではなく、各々が様々な経歴を持つ教員陣の紹介も兼ねている。三条商工会議所の兼古耕一会頭(株式会社兼古製作所 代表取締役)は「(普通は)大学にどのような先生がいるのか分からない。この講座で教員と地域の距離が近くなることで、将来の相談や共同研究のきっかけにできたら」と今後の期待を込める。

会見の様子

参加は、各セミナーごとのQRコードからの事前申込制。開催場所の同校4階、共和松井ホール。新型コロナウイルス感染予防の観点から定員は120人までとしているが、想定を上回る数の応募があった場合には、他教室を利用し中継で講演を視聴する形式も検討しているという。

希望者へ対しては、講演後に学内見学も行う予定である。また、講演後には参加者と教員陣による交流会も予定されていたが、コロナ禍の影響で当面の実施は検討中。来年以降の開催に期待だ。

参加には市内外や企業による制限はなく、シャハリアル学長は「幅広い方々に来ていただきたい。学生にとっても満足できる内容だと考えているが、特に、企業の次世代を牽引するような若手の社員に来てもらいたい。経営者の方々にも、そうした時間を工面できるよう配慮してもらえたらと思う」と話す。

三条市立大学が目指す、「大学と地域のサスティナブル(持続可能)な連携」第一歩として、地域に取り組みが広がっていくことに期待したい。

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