ロズベルグがメルセデスF1勢のディフェンスを批判「ボッタスの抜かれ方はひどかった」ハミルトンの“手ぬるさ”にも驚き

 2016年のF1チャンピオンであるニコ・ロズベルグは、2021年F1第7戦フランスGPのメルセデス勢のコース上での戦い方に関して、レッドブル・ホンダに対する防御を諦めるのが早すぎたとして批判的な発言をしている。

 決勝でマックス・フェルスタッペンは上位勢で唯一、2回ストップ戦略を選び、終盤、新しいタイヤで4番手からポジションを上げていった。チームメイトのセルジオ・ペレスの前に出た後、バルテリ・ボッタスを抜き、残り2周のところでルイス・ハミルトンをオーバーテイクしてトップに立ち、優勝を飾った。

 メルセデスのドライバーたちは、使い込んだタイヤで非常に苦労していたため、フェルスタッペンに対してなす術がなかったのだが、ロズベルグは古巣メルセデスのドライバーたちは、ポジションを守るためにもっと激しく抵抗すべきだったと考えている。

『Sky Sports F1』の解説者を務めるロズベルグは、フェルスタッペンに対するボッタスのディフェンスを酷評した。

「正直言って、バルテリの防御はひどいものだった」

「完全に不必要なブロックをした後、ブレーキングを遅らせすぎて、まっすぐ行ってしまった。それでマックスは簡単に前に出ることができたんだ」

「いずれは抜かれたのだろうが、もう少しマックスをてこずらせて、時間を稼げたはずだ。防御の仕方は良くなかった。もっとずっと賢くやることができたはずだと思う」

2021年F1第7戦フランスGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 ボッタスは、ファーストスティントで早い段階でタイヤの状態が悪くなっていたため、上位勢のなかでは一番早くピットストップを行い、セカンドスティントを長く走らなければならなかった。レース後、ボッタスは、レース終盤はフロントタイヤが終わってしまい、完走することだけを考えて走るしかない状態だったと語っている。

■「ドアを閉めないなんてルイスらしくない」とロズベルグ

 ロズベルグは、ハミルトンのディフェンスについても批判的だ。ハミルトンも1回ストップで走っており、終盤、タイヤに苦しんでいたため、フェルスタッペンに追いつかれると、たやすく抜かれてしまった。

「ルイスらしくない。ドアを閉めろよ!」とロズベルグ。

「いつもの彼は、1対1の勝負が誰よりも得意だ。だから彼が全くトライしなかったことに驚いた。なぜか手ぬるかったね」

2021年F1第7戦フランスGP Sky Sportsの解説を務めるニコ・ロズベルグ

 ハミルトンは、その時フェルスタッペンに抵抗したとしても、いずれは抜かれていたため、タイヤを守ることを優先したと説明している。

「イン側にはマーブルがあったので、それを拾いたくはなかった。すでにタイヤがひどい状態なのに、さらにひどくしたくはなかったんだ」とハミルトン。

「彼(フェルスタッペン)はDRSを使っていた。あそこで前に出なかったとしても、その後、ストレートで僕を抜いて行っただろう。つまり結果は何ひとつ変わらなかった」

「あれ以上激しく抵抗しても無意味だったということだ。バルテリに起こったことを見ても分かる。あれ以上タイヤを駄目にするような行動をすることに意味はなかった」

 レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、ハミルトンがフェアな戦いをしたと称賛している。

「マックスがオーバーテイクした時のルイスは非常にフェアだった」とホーナーが語ったとロイターが伝えた。

「ハードな防御、あるいはアグレッシブな防御をせず、非常にクリーンな動きをした」

 ボッタスは、2回ストップで走ることを希望していたが、チームに許されず、激怒していた。ハミルトンも、レース後、「2回ストップで走っていたらうまくやれた可能性がある」と認めている。

「でも僕たちはそれが不可能だったので、理由を分析して理解したい」

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