<美のチカラ>外出しなくても楽しめる“VR博物館”とネコから学ぶ豊かな空間

東京都内にある美術館や博物館から魅力的な作品の数々を紹介するコーナー<美のチカラ>です。今回は、自宅で楽しめる博物館と、6月18日から始まった展覧会の情報をご案内します。

<国立科学博物館のバーチャル展示室「かはくVR」>

国立科学博物館(台東区)では、自宅からでも"かはく”のコンテンツを楽しめるバーチャル展示室「おうちで体験!かはくVR」を提供しています。まるで実際に博物館の中を歩いているかのような感覚で、2万5000点以上の展示物を見ることができます。広報担当の土屋順子さんは「新型コロナで休館中でも展示を楽しんでほしいと思い、VRを公開している」と話します。利用客からは「好きな時にいつでも展示が見られる」「旅行が自粛されている中、遠方からでも気軽に見られる」「混んでいない展示室をじっくり見られる」といった好意的な声が届いているということです。バーチャル博物館には展示物だけでなく階段や休憩などで座るソファまで忠実に反映されていて、臨場感抜群です。

見どころ満載のバーチャル博物館の中でも、広報の土屋さんお薦めのビューティースポットが日本館のステンドグラスです。土屋さんは「日本館の建物自体が重要文化財に指定されている。ホールを巡っている時にステンドグラスを見てもらうととてもきれい」と話します。鮮やかな色合いの向かい合う2羽の鳳凰が、差し込んでくる自然光によく映えます。

動物も数多く展示されていますが、その中には恐らく「日本で一番有名な犬」、忠犬ハチ公の実物の剥製もあります。ハチは天国でようやく主人に会えましたが、今なら誰でもいつでもハチに会うことができます。

<隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則>

東京国立近代美術館(千代田区)で6月18日から始まったのは、隈研吾さんの展覧会です。隈さんは東京オリンピックとパラリンピックの舞台となる国立競技場のデザインにも参加した、日本を代表する建築家の1人です。会場内にはJR山手線・京浜東北線の高輪ゲートウェイ駅の模型など、さまざまな作品が展示されています。

一風変わった展覧会のタイトル「新しい公共性をつくるためのネコの5原則」について、ゲスト・キュレーターの保坂健二朗さんは「隈さんと、今後は人間だけでなく動物を含めた豊かな空間を作っていくべきだろうという話になった。ネコ好きの隈さんから『どういう空間がいいのかはネコに教わるべき』という提案があり、このタイトルになった」と話します。会場には実物のネコの行動や目線を参考にした3DのCGアニメーション映像が流れるコーナーがあります。また、感染防止を促すボードはネコがマスクをしていたり手のイラストが肉球になっていたりと、遊び心も満載です。

美術好きの人もネコ好きの人もどちらも楽しめるこの展覧会は、9月26日まで開催される予定です。

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