「出てこい、おいでやすこが!」お見送り芸人しんいち 今年ラスト『歌ネタ王』へ宣戦布告

「歌ネタ王」ラストイヤーに燃えるお見送り芸人しんいち

歌ネタNo.1を決める「歌ネタ王決定戦」が今年で終了すると先日、発表され、ショックを受けている芸人は少なくない。同大会の2年連続ファイナリストであるピン芸人・お見送り芸人しんいちもその1人だ。ただ嘆いてばかりもいられない。「最後の大会、優勝します」と宣言したしんいちは、「おいでやすこがに勝ちたい! 出て来てほしい」と訴えた。

大阪・MBSテレビの主催で2013年に始まった同大会は、今年を最後に終了する。今年は「歌ネタ王決定戦2021 FINAL」と題され、先日エントリー受付がスタート。決勝は今秋に行われる。

同大会でしんいちは3回、決勝に進出。15年は田中光と組むユニット「田中上野」で、19、20年は個人で決勝に進んだが、まだ優勝は果たせていない。

そんな思い入れのある大会が、今年を最後になくなることを知った時の心境について「マジかと思いました。メチャクチャ、ショックですよ。この大会のトロフィーが1番欲しい。ずっと前から、そう言ってました」と明かす。

お笑いの賞レースでは、ひとり芸日本一を決める「R―1グランプリ」が、今年の大会から芸歴10年以内に変更された。しんいちは今年は出場できたが、来年以降は出場資格を失った。

「正直言って、R―1の出場資格が変わるのは、芸人の間で噂があったんです。でも、歌ネタ王の方は全くなかった。ダメージが大きいです」

それでなくてもコロナ禍のいま、芸人の生活は大変だという。

「ライブも減ったし、やってもお客さんは半分とか。営業もなくなったのがキツイ。配信ライブもやったりしますけど、僕くらいの知名度では儲けは出ない。芸人を辞めた人もメッチャいるし、コンビを解散する人も多い。僕もいま、バイトしてて生活は苦しい。切実な話、優勝して賞金が欲しい! 今年はマジで取れるぞと思ってたんで、本気で優勝を取りにいきます。3度目の正直です」

実は19、20年のネタも評価が高かった。19年は審査員を務めた大久保佳代子、「野性爆弾」くっきー、20年は「ナイツ」塙宣之が出場者の中で最高点を付けたほどだ。

「刺さる人には刺さるというのは感じている。僕のネタ、審査員によってばらつきが激しくて。でも去年の僕とは違う。R―1ももう出られないので、1人で出場できる賞レースはホンマにこれがラストになる。絶対取るしかない」

R―1の出場資格を失ったピン芸人では、おいでやす小田とこがけんが「おいでやすこが」というユニットを組んでM―1グランプリで準優勝。今年、大ブレークしているのは周知の通りだ。

「すごいですよね。僕はピン芸が一番難しく、かつ一番面白いと思ってるので、力があるピン芸人2人が手を組んだら、あんなに面白くなるんだと思いました」

こがけんは昨年、歌ネタ王のファイナリストでもある。

「今年も当然、出てくるでしょう。ひょっとしたら『おいでやすこが』で取りにくるかもしれない。M―1でやったネタも歌ネタですからね。ただ、出てきても僕が勝ちます! 『おいでやすこがに勝って優勝した』と言いたいですから。『出てこい!』と言っておきます」

おいでやすこがの活躍を見て、ピン芸人同士がユニットを結成する動きも出てきているとか。

「キングオブコントも即席ユニットの出場が認められたんで、みんな水面下で動いてる。実は僕も『組まないか?』と誘われてます。もちろん個人としては『歌ネタ王を取らないと』とは思ってますが、ユニットとして活動するのも芸人として幅が広がるので、悩んでます。誰に誘われたか? 言っていいかな…。西村ヒロチョさんです」

ただ、もしユニットを組んだとしても、ピン芸人として活動する姿勢に変わりはない。

「やっぱりピン芸人が一番カッコいいと思ってるので。R―1の出場資格がなくなりましたが、輝けるピン芸人でいたいです!」と誓った。

☆おみおくりげいにんしんいち 1985年4月21日生まれ。大阪府出身。グレープカンパニー所属のピン芸人。歌ネタが得意で、「歌ネタ王決定戦」には2019年、20年と2年連続で決勝進出。15年にも田中光と組んだユニット「田中上野」で決勝進出した。特技はサッカーで、大阪・北陽高校時代にインターハイ出場。芸名は、礼儀正しくお見送りする姿から、サンドウィッチマンの伊達みきおが命名した。

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