陸自演習場外に120ミリ迫撃砲弾が着弾 火薬量誤ったか、1キロ離れた山林に 滋賀・高島

迫撃砲弾の落下地点とみられる山林の斜面を調べる自衛隊員。木の幹が大きく損壊している(23日午後3時34分、高島市朽木荒川)

 23日午前10時40分ごろ、滋賀県高島市の陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場で訓練中に発射された120ミリ迫撃砲弾1発が敷地境界を越え、西に約1キロ離れた山林に落下した。陸自今津駐屯地(同市今津町)と高島市が発表した。けが人や被害の情報はないという。着弾地点は特定できておらず、陸自中部方面総監部が確認作業を続けている。

 同日午後6時から今津駐屯地で記者会見した同総監部広報室長の持留顕1佐は、迫撃砲に装填(そうてん)する砲弾を準備する際、装着する火薬の量を誤ったことが原因と推定されると述べた。同演習場では2018年11月にも訓練で発射した81ミリ迫撃砲弾1発が敷地外に落下し、近くに止まっていた住民の乗用車が破損するなど、過去6年で今回を含め4件の場外着弾事案が続いており、持留1佐は「あってはならないこと。不安に思う市民も多いので、きちんと事実を知らせたい。大変ご迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪した。

 会見や市によると、饗庭野演習場では午前8時半ごろから高知駐屯地(高知県香南市)所属の第50普通科連隊の約50人が迫撃砲の射撃訓練を実施。発射した120ミリ砲弾約70発のうち1発が場外に出た可能性に気付き、付近を探したところ、午後0時25分ごろ発射地点から約6キロ、敷地境界から約1キロ離れた同市朽木荒川の山林で着弾痕とみられる樹木の傷を発見した。爆音と振動に気付いた近くの工事業者からの通報で、県高島土木事務所の職員が既に現場に到着していたという。

 砲弾の最大射程は8キロ。射撃訓練は6人一組で行い、2.5キロ離れた目標地点を狙って砲弾に火薬を装着し、1発ずつ演習場内に着弾したことを確認していた。6人のほかに安全確認役1人がその場にいたが、火薬量の誤りには気付かなかった可能性があるという。

 高島市役所には23日午後6時、陸自中部方面総監部(兵庫県伊丹市)の酒井秀典幕僚長らが訪れ、福井正明市長に謝罪した。福井市長は「市民の命と安全を守る立場として遺憾」と述べ、饗庭野演習場での実弾射撃訓練の即時中止と原因究明、再発防止を要請した。

 饗庭野演習場では24日から7月11日まで陸自と米軍による日米共同訓練が予定されていたが、陸自によると第50普通科連隊は日米共同訓練には参加しておらず、単独で射撃訓練をしていた。同連隊は24日まで5日間の予定だった射撃訓練を中止した。日米共同訓練も複数会場のうち同演習場での実施は中止した。

射撃訓練中の演習場外への着弾について経緯を説明する陸自広報担当者ら(左)=高島市今津町・陸自今津駐屯地)

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