沖縄慰霊の日 全国紙やブロック紙の社説はどう取り上げた?

 【東京】沖縄の「慰霊の日」の23日、全国紙や各地の新聞社は朝刊で、沖縄戦と結び付けて、過重な基地負担を強いられている沖縄の現状を問う社説を掲載した。沖縄戦で犠牲となった県民や戦死した兵士の遺骨が含まれる本島南部の土砂を、日本政府が名護市辺野古の新基地建設に使用する可能性があることを計画している件を取り上げ、政府の姿勢を批判する論調が目立った。

 「戦争に絶望し死んでいった人々の血が染みこんだ土で、米軍の基地を建設する。そんな計画が、沖縄県民の理解を得られるだろうか」。西日本新聞はこう記し、辺野古新基地建設への南部の土砂使用を疑問視した。

 朝日新聞は「近年、歴史をないがしろにする政府の姿勢が顕著だ。今回の土砂調達に限らず、その積み重ねが沖縄との溝を深めてきた」と指摘した。毎日新聞も「浮かび上がるのは、沖縄の歴史や思いを軽んじる政府の姿勢だ」とした。

 北海道新聞は「辺野古移設では、人道上許し難い土砂採取も計画されている」と記した上で、「工期も工費も膨らみ、運用の見通しは立っていない。政府は工事自体を中止すべきだ」と強調した。

 東京新聞は「民意に反する新基地建設を強行し、戦没者を冒涜(ぼうとく)する愚行を重ねようとする。そんな日本の政権は、沖縄の痛みに思いを巡らせているのか、そして、沖縄以外に住む私たち自身はどうなのか」と問い掛けた。

 産経新聞は「『英霊』や『散華』などの言葉に『戦争賛美』のレッテルを貼り、批判する傾向が県内で強まっている」と指摘。「一方的な歴史認識では、沖縄戦の実相を理解できず、戦没者への哀悼の念も生まれまい」と強調した。

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