冷えたベッドを熱くしたいならこの映画!オヤジのアクションはウケる 伊藤さとりのオススメ

◆日本はセックスレス大国

日本は世界的に見てもセックスレス大国と言われ、様々な調査で世界最下位辺りを爆走中ですね。しかも夫婦、パートナーがいる間でのセックスは年齢と共に年々減少、40代以降は6割がセックスレスという結果!忙しい、もう異性だと思えない、など理由は多々あれど、朝も夜も夫婦仲睦まじく、生涯現役だと言えたならちょっとは自信を持てるのかもしれない。

まぁ、セックスが全てとは思わないし、無くても平気ならばそれでOKですが、愛情を深めるのにはスキンシップというコミュニケーションが大事。その行為(スキンシップ)が得意では無い日本人らしい結果が「セックスレス大国」という呼び名を生んでしまっているのかもしれないですね。けれど、[倦怠期の夫婦]というのは全世界共通言語。じゃぁ、抱かれたい男になるにはどうしたら良いんだ?という問いに答えてくれそうな痛快オヤジアクション映画が公開されるのでここからは女性目線で紐解いて行こうと思うのです。

◆オヤジのアクションがウケる理由

シリーズ化まで及んだオヤジアクション映画といえば、『96時間』シリーズと『ジョン・ウィック』シリーズが頭に浮かびます。『96時間』は、リュック・ベッソン監督が製作を務め、『スター・ウォーズ』エピソード1&2でクワイ=ガン・ジンを演じたリーアム・ニーソンが誘拐された娘救出に奔走する元CIA工作員を演じ、『ジョン・ウィック』は、『マトリックス』のスタントマンのチャド・スタエルスキが初監督を務め、千葉真一の大ファンであるキアヌ・リーブスが亡き恋人が残した愛犬を殺され復讐に燃える元凄腕殺し屋という設定。

シリーズ第一弾の全米公開時の年齢は、リーアム・ニーソンは2009年の時点で56歳、キアヌ・リーブスは2014年の時点で50歳と、50歳越えの2人がキレッキレのアクションを披露するのです。しかも二人とも役の設定が、別れた妻は再婚しているのに未練タラタラで娘とも引き離された孤独なオヤジと、愛する人に先立たれ、残された仔犬に癒されていた孤独なオヤジという、[愛を失い、立ち直れていない男]。そんなオヤジたちがキレたら強いという“ギャップ”に全世代が萌え、シリーズ化となったのです。

◆アクションができるオヤジはモテるのか

そんなオヤジアクションの最新作が6月11日に公開される『Mr.ノーバディ』であり、『ジョン・ウィック』の脚本家と制作陣がタッグを組んでさらなるオヤジギャップ映画を生み出したのです。主演のボブ・オデンカークは現在58歳。物語は、家族一筋、仕事では過小評価され、ベッドの間には妻から枕を置かれるくらい夫婦生活がご無沙汰な中年男が、小さな娘のブレスレットを強盗に奪われたことをきっかけに本能が目覚め、大暴れするという痛快アクション。『ジョン・ウィック』では犬とオヤジという組み合わせですが、『Mr.ノーバディ』は、猫を飼いたがる小さな娘の願いを叶えようとする姿も見た目とのギャップから愛おしさが増します。しかも主人公の祖父もクセ者というギャップがまた笑いを誘い、ジャッキー・チェンばりのそこら辺にある物を使ったアクションあり、懐メロが流れて来るわで、心ウキウキ、92分という見やすい上映時間であっという間に気分爽快。すっかり主人公に魅了されシリーズ化切望まで願う始末。そして劇中、この夫婦を挟む枕が外される理由には納得しかないのです。コミュニケーションとはそもそも会話であり、そこからスキンシップという対話が、夫婦関係を修復する鍵。

ちなみにアクションが出来たら歳を取ってもモテるのか?と言うと決してそうでは無く、“愛する人を守ろうとする誠意”と、“仕事より家族”と自ら言えてしまう愛情表現が大事ってことかも知れません。後はギャップ萌え、ヒットの法則も、モテる人の法則も全世界共通。

(映画コメンテイター・伊藤さとり)

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