エンゼルス大谷 まさかの粘着物質騒動 スゴ過ぎるゆえの弊害か

2回終了後、審判員からの粘着物質チェックに笑顔で応じる大谷(ロイター=USA TODAY Sports)

エンゼルスの大谷翔平投手(26)は23日(日本時間24日)の本拠地アナハイムでのジャイアンツ戦に今季8度目のリアル二刀流となる「2番・投手」で先発し、6回を1本塁打を含む6安打1失点、9三振2四球で今季最多の105球を投げて粘るも4勝目、日米通算50勝はお預けとなった。バットも期待されたメジャートップの24号は不発に終わり、3打数無安打2三振だった。ところでその大谷に思わぬ粘着物質騒動が起こっていた。どういうことか――。

6回二死無走者で8番デュポンへのフルカウントからの6球目、96・8マイル(約156キロ)の渾身の直球で空振り三振を奪うと大谷はガッツポーズして雄たけびを上げた。

今季の最強の相手との戦いだった。47勝26敗でメジャー最高勝率でナ・リーグ西地区を独走するジャイアンツの打線はメジャートップの109本塁打を誇り、相手先発は今季8勝を挙げ、防御率1・51のエース・ガウスマン。1点も許せない展開になることは分かっていた。

初回一死後、ディカーソンにスプリットを捉えられ右前に運ばれた。3番ポージーを四球で歩かせ一死一、二塁のピンチを迎えたが4番ベルトをカウント2―2から内角低めのスライダーで空振り三振。続く前日の試合で3安打しているクロフォードは高めのスライダーで右飛に仕留めて無失点で切り抜けた。

2回はアウト3つは全て三振で奪い、3回は一死後安打されるも3番ポージーを中飛、4番ベルトを遊ゴロに片付け無失点。4回も二死二塁のピンチを招くも8番デュポンを直球で空振り三振。

5回に最大のピンチを迎えた。一死後、ヤストレムスキーに10号ソロを右翼席に運ばれ、続くディカーソンにこの日3本目の安打となる右翼線二塁打。大谷が1試合で同じ打者に3安打されたのは初だ。3番ポージーは四球。ここでギアを上げて4番ベルトは98・7マイル(約159キロ)の直球で空振り三振。続くクロフォードは外角低めのスプリットで空振り三振で切り抜けた。

打者ではメジャートップの24号が期待されたが、初回一死無走者は一ゴロ、3回一死無走者は低めのスプリットで空振り三振、5回二死無走者も低めのスプリットで空振り三振。前日は高めの変化球で3三振しており、捕手ポージーのリードに翻弄された。

この試合で大谷が注目されたのはマウンドと打席だけではない。21日(日本時間22日)から米大リーグ機構(MLB)が強化している粘着物質のチェックだ。2回と4回に2人の審判員から帽子、グラブ、ベルトのチェックを受けた。NBCスポーツ(電子版)は「前日(ナショナルズの)シャーザーや(アスレチックスの)ロモは明らかに嫌そうな表情をしていたが、大谷翔平は全く違った。終始笑顔。ただ完璧だね」と褒めたが、その直前に“粘着物質”騒動を起こしていた。

初回、一ゴロに倒れた大谷は集中しすぎていたのか打撃用の手袋をお尻のポケットに入れたままマウンドへ向かい投球練習を開始。途中で気付いてバットボーイに手渡す“ハプニング”があったのだ。

これを受け、NBCスポーツのNBCジャイアンツ公式ツイッターで動画とともに「大谷の打撃用手袋は異物としてカウントされるのか?」と笑顔マークを付けて投稿。もちろん冗談で、大谷が粘着物質を不正に使用しているわけはなく、ジャイアンツからの抗議もなかった。何とも絶妙のタイミングだった。

米国でも一挙手一投足が話題になる大谷はもはや野球の枠を超えた存在。ますます目が離せない。

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