ジムニーといえば、クルマに詳しくない人でも思い浮かぶほどの誰もが知るスズキの本格的オフロード4WD車だ。小さいボディながら道なき道を走破出来る万能モデルである。1970年のデビュー以来絶えず生産を続けるスズキ ジムニーの50年以上に渡る歴史を振り返ってみよう。前編はデビューから2代目モデルまでをご紹介!
小さいながらも本格的なオフロード性能を持ち合わせるスズキ ジムニーの歴史を振り返る
スズキ ジムニーと言えば、言わずと知れた日本を代表する本格的なオフロードカーのひとつだ。そこまでクルマに詳しくない人でもジムニーと聞けば、なんとなくそのフォルムを脳裏に浮かべることができるのではないだろうか。
日本が誇るオフローダーとしては他にランドクルーザーが知られるところだが、ジムニーは日本の軽自動車規格というコンパクトなサイズの中にあっても(普通車登録モデルものちに追加されているが)そのオフロード性能は勝るとも劣らないという点が、多くのファンを惹きつけて離さないところなのだろう。
今回はそんなマイクロオフローダーであるジムニーの歴史を振り返ってみたい。
ジムニー誕生以前 ~実はジムニーはSUZUKIのオリジナル作品ではなかった!?~
スズキ ジムニーとしての歴史は1970年4月からスタートしているが、実はこの歴史には前段が存在する。それが、当時のホープ自動車が開発・生産をした「ホープスター ON型4WD」である。
このホープスター ON型4WDは、オート三輪で一世を風靡したホープ自動車が1967年にリリースしたもので、当時存在していた軽自動車免許で乗れる不整地用万能自動車として誕生。ラダーフレームの上に三菱製の空冷2サイクルエンジンを搭載し、駆動系も当時の三菱車のものが多く流用されていた。
しかし、当時のホープ自動車はすでに大手メーカーのオート三輪の登場によって市場を奪われ、企業の軸足を遊園地向けの遊具生産にシフトしており、この基本設計はスズキに売却・譲渡されてジムニーが誕生したというワケである。
なおホープ自動車は当初、エンジンなどの供給メーカーであった三菱へアプローチをしたものの断られたためスズキに持ち込んだという逸話が残っている。
当初は幌付きオープンモデルのみ! 徐々にラインナップを広げた「初代ジムニー」
そんなエピソードの末に登場した初代ジムニーは、ホープスター ON型4WDのコンセプトはそのままに、エンジンとミッションをキャリイ用をベースにした空冷2ストロークエンジンに置き換えるなど、既存の部品を上手く組み合わせたもので、当初は幌タイプのみのラインナップとなっていた。
エンジンこそ当時の軽自動車規格である360ccであったが、他社の大型4WD車に比べ圧倒的に軽量なボディと16インチという大径タイヤを装着したことで悪路での走破性は上級車をも凌ぐと言われるほどであった。
1972年5月にはエンジンを水冷2ストローク2気筒に換装。同時にフロントマスクのフェイスリフトを実施し、型式もLJ10からLJ20へと変更された。またこのタイミングでメタルトップとメタルドアを持つバンタイプも追加されている。
1976年には360ccから550ccに排気量アップ
1976年5月には同年1月に改訂された軽自動車規格に合わせ、水冷3気筒550ccエンジンを搭載したモデルへ進化。エンジンの排気量から「ジムニー55」という愛称が使われた。
“軽じゃない白ナンバーのジムニー”は初代モデルから存在していた
1977年10月には新開発となる水冷4サイクル直列4気筒800ccのエンジンを搭載した「ジムニー8」が登場。これはジムニー初の小型車登録モデルであり、もともと日本国外向けに作られたものを日本向けに発売したものであった。
>>後編に続く[2021年6月27日(日)公開予定! 乞うご期待!]
[筆者:小鮒康一/撮影:SUZUKI・MOTA編集部]