THROPUS - 宇宙をテーマにした2nd EP『Odd Odyssey』発売! ユートピアの先はディストピアか本当の楽園か

ユートピアの先はディストピアか本当の楽園か

──Rooftop初登場ありがとうございます!

オカリフミ:

こちらこそありがとうございます! 10代からの憧れのメディアでしたので嬉しい限りです、よろしくお願いします!

──6年半ぶりのリリースとなるEP『Odd Odyssey』の発売おめでとうございます。

オカリフミ:

ありがとうございます! 今回、宇宙をテーマにしたことで前作よりコンセプトが明確になり、共通認識ができたことで作品としてまとまりが出たような気がしてます。

──配信もはじまりましたが、手応えやファンの方の反応はいかがですか?

オカリフミ:

おかげさまで、前作よりカッコイイとのお褒めの言葉をもらったり、反応もまずまずです。

──収録曲について聞かせてください。まず、開幕ともいうべき「Connect Now」。

オカリフミ:

そうですね。「Rendez-vous」に繋がるオープニング曲という位置付けで、ギターのラが制作した楽曲です。宇宙の幕開け的なイメージですかね。

ラ:

未来世紀の世界で、なにか大きい存在によってユートピアにいざなわれるイメージで作りました。実際はその先はディストピアかもしれませんし、本当の楽園なのかもしれません。

──では、「Rendez-vous」については。"今こそ繋がろう!"、"宇宙でコワーキング!"という歌詞が並んでいてコロナ禍の今っぽいなと感じました。制作されていた時期など、社会の雰囲気と関係はあったのでしょうか。

オカリフミ:

楽曲としては、2018年くらいに出来ていたのですが、レコーディング中に歌詞を付けました。ちょうど緊急事態宣言が出たコロナ禍のタイミングでしたね。今回、「Rendez-vous」と「Mattanus」は、初めてdrumkunが作詞をしています。個人的なことを言うと、前作はほぼ自分で歌詞を書いていたのですが、今回はスランプに陥ってしまい、全く歌詞が書けない状態になってたところに、drumkunがサッと2曲分の歌詞を書いてくれました。すごく助かりました! 楽曲の聴きどころは、間奏のDJブロッコリーのノイズテクスチュアかな。

drumkun:

「Odd Odyssey」というテーマにダイレクトな2曲目「Rendez-vous」は、言葉としてもいろいろな意味を持ち、「待ち合わせ」「デート」などの恋愛ワード、または「宇宙開発」「宇宙船等のドッキング」などのギャラクシーワードもあります。人に会えない窮屈な現代の日常と、無限に開放された銀河宇宙への思いを、機知的な言葉遊びで結びつけたダブルミーニング・ソングになっています。銀河冒険史を物語化した本作のコミット・ナンバーです。

ラ:

いびつな進化をしてポンコツ宇宙船に乗ったやつらの、ドタバタ日常系スペースオペラです。

──"ドタバタ日常系スペースオペラ"ってキャッチーでいいですね!

DJブロッコリー:

間奏のノイズは、ラとはあえて別のベクトルを目指し、日常系スペースオペラを非日常にすべく、”ノーインプットフィードバック”という手法で普通は聞き取れないようなホワイトノイズを倍増し、それに次元反転のエフェクトをかけました。結果、素晴らしいミックスにより日常系に落ち着き、非情なノイズも曲としてまとまっていると思います。

──トライバル・ダンスナンバー「The Cosmo Carnival」についてはいかがでしょうか。リフレインされるループは聴き覚えのあるような和洋折衷とでもいうようなビートが新鮮で。どんなところから着想を得たのでしょうか。

オカリフミ:

「The Cosmo Carnival」は、今作で一番古い曲で、2015年くらいからライブでやっている定番の曲です。特にライブ映えする曲なので、テンションぶち上がりで踊り狂い、カオス状態になります(笑)。ギターのラが持ってきたネタを膨らませて作った感じですかね。聴きどころは、ユカリ・オン・デマンドのミッドサマーヨロシクの祝祭的ボイスループかな。

ラ:

多様性が尊重された進んだ星で行なわれ、様々な形状の宇宙人たちが参加する無重力サンバ祭りです。ユカリ・オン・デマンドが見事に宇宙ディーバのパフォーマンスを具現化してくれました。宇宙ディーバは、2人で1つの存在みたいな感じで完全に同期している2人みたいなイメージがあるのですが、実際のユカリ・オン・デマンドは1人です。デモを作ったのは2015年ごろで、なにも考えてなくてわりと宇宙から受信したまま……てきとうに作った感じだったのですが、聴き覚えありましたか? なにか元ネタが想起される感じがあるのであれば興味があります!

──知らぬ間に宇宙人に植えつけられていたのかもしれませんね(笑)。

ユカリ・オン・デマンド:

リンボーダンスを思い浮かべて歌っています。レコーディングのときは喉の具合が悪かったんですが、逆に抜け感が出ていいねと褒められて良かったなと。オカリフミさんと掛け合いのように歌うのがすごく楽しいです。

──「Mattanus」についても聞かせてください。こうした楽曲はライブで増幅的発展として披露されるのでしょうか。

オカリフミ:

「Mattanus」は、ギターのラがほぼ完成形のdemoを持ってきて、それをバンドで再現するといった流れで制作しました。個人的には、歌メロがハマらず一番苦労しました。レコーディング3回目でようやく今の形になりましたね。レコーディングの度に、酒飲みがら反省しました(笑)。

ピカイチロウワキニシ:

これ、ベースも録るのに時間かかった(苦笑)。

ラ:

シンギュラリティ前夜のざわめきみたいな感じです。最初に思ったのと違うものになっていく様がまさにバンドという感じでおもしろいところですね。たしか、ユカリ・オン・デマンドのウーフーがやりたくて作った気がします。

ユカリ・オン・デマンド:

ライブに参加すると音程を取ることがめちゃくちゃ難しすぎるバンドなので、レコーディングは比較的歌いやすく感じるという現象が起こりました

drumkun:

音素材は極めてLo-FI感ある録音をして、ラの仕上げMIXが最高の曲です! 詞は、世界産業革命時代に、フリーダムな主人公とパーソナルコンピューターのオペレーティングシステム「Mattanus」が活躍したとかしないとか……そんな御伽話的な歌です。

──日本語詞ではなく、あえて英詞にこだわっているのは全世界に発信したい意図があるのでしょうか。

オカリフミ:

特に英詞にこだわりは持ってないのですが、世界に向けて発信という点は強く意識しながら活動してます。

drumkun:

言葉選びにもよりますが、音として発した時のインパクトも大事にしています。それが日本語や英語、その他言語であっても世界共通でTHROPUSのイメージが広がれば理想です。

行けなかった土地でライブをしたいし、レジェンドバンドとも対バンしたい

──ブラジルやカナダなど海外の#Spotify プレイリストにもセレクトされていますが、国外の方の反応はいかがですか?

オカリフミ:

ブラジルの皆さんにサンバのリズムが聞こえたのか、The Cosmo Carnivalはブラジルでの反応が良いみたいです(笑)。

──サンバ! なるほど! それは音楽のすごいところですよね。予想もしない地でまた新たに広がっていくという。

オカリフミ:

やはり、言語よりもリズムが響いたのかなと思ってます。海外は言語の高い壁があるように感じます。今後の課題ですね。

──ライブがなかなかしにくい状況ですが、制作面でも精神面でもなにか変化はありましたか?

オカリフミ:

今まで当たり前に出来てたことが出来ない状況というのはきつい。ライブも100%でやることに躊躇してしまう。気を遣ってやるライブほどツマラナイものはないですからね。ウチらは飛沫増し増しで、大汗かいてやってるバンドだから! その点、コロナ禍でレコーディングがあったことは唯一の救いだったかな。

──同じ場を共有する醍醐味が制限されるのはつらいですよね。ステイホームの時期、それぞれなにをされていましたか。

オカリフミ:

個人的には、コロナ禍で体調を崩してしまったこともあり昨年から登山を始めました。低山から登り始めて、今年はテント泊にもチャレンジしたいと意気込んでいます。ハイクをしていると、綺麗な景色を観れるもいいんですが、なにも考えず無になって歩くことが心地よかったりします。

ラ:

もともとインドアなのでステイホームは得意です。家で一人でシンセをいじる時間が増えて、平常時以上に機材を買ってしまいました。PS5とカメラも買いました。

ピカイチロウワキニシ:

コロナ太りしたのでジョギングを始めました。それまで運動とかに全然興味がなかったけど今はすっかりハマってます。あとはベースを触る時間が増えました、今が人生で一番ベースを触ってるかもしれない。

drumkun:

同じく5kg太り……最近やっと元に戻りました。

DJブロッコリー:

子供がうまれました。

──コロナが終息したあとにやりたいことはありますか。

オカリフミ:

昨年、行けなかった神戸・大阪・京都・名古屋でライブをしたいです。あとは、レジェンドバンドとも対バンしたいですね。昨年、映画『JUST ANOTHER』を観て、感動した原爆オナニーズ! 昨年の邦画満足度ランキング1位! ちょうど同じタイミングで、ダムドの『地獄に堕ちた野郎ども』のドキュメンタリー映画も観たのですが、ほぼ同年代を活動し続けているパンクバンドの生き様に触れられてとても感慨深かったです。その他は、Melt-Banana、Limited Express (has gone?)、SMASH YOUR FACE、Otoboke Beaver とか。海外だと、UKのIDLES、Squid、black midi、shameなどのバンドも注目してて、新作もカッコいい。海外のバンドとも対バンしてみたい! そして、作りかけの新曲があるので、そちらも早くレコーディングしたいと思ってます! 乞うご期待で! まずは、NEW EP『Odd Odyssey』をチェックしてみてください!

ピカイチロウワキニシ:

とにかくライブがやりたい!

ping-woo:

………。

© 有限会社ルーフトップ