東京女子医大の麻酔薬大量投与事件、医師らの過失認定 東京地裁

 2014年に東京女子医大病院で、小児に対して禁忌とされていた麻酔薬が当時2歳の男の子に大量投与され死亡した事件をめぐり、男の子の両親が損害賠償を求めた裁判で、24日、東京地裁が当時の担当医師ら5人の過失を認める判決を言い渡した。5人からの損害賠償自体は、病院側が弁済するとして訴えを退けた。

過失と賠償責任認める 事件から実に7年後

父親「これまで誰一人として謝らなかった」

 2014年、東京女子医大病院で首の腫瘍の摘出手術を受けた当時2歳の男の子は、術後、小児に対しては禁忌であると添付文書に明記されている麻酔薬「プロポフォール」を、成人に対する適切な最大投与量の実に2.7倍の量を投与され死亡した。

 これを受け両親が当時の主治医と担当の麻酔科医ら5人に損害賠償を求める訴えを起こしていたが、24日、東京地裁は訴えられた5人の当時の行為について過失を認める判決を出した。判決では5人に「およそ6000万円の支払い義務がある」と賠償責任を認めたが、賠償自体は今後病院側が弁済するとして退けた。

 この事件をめぐっては今年1月、東京地検が、当時処置に関わった当時の研修医と上司にあたる集中治療室部副部長の医師の2人を業務上過失致死罪で在宅起訴しているが、裁判はまだ始まっておらず司法判断は出ていない。今回、両親が起こした民事の損害賠償ではあるが、事件に関する司法の初の判断ということになる。

 判決後、亡くなった男児の父親は「過失が認められ非常にほっとしている。今日まで7年4ヵ月。とても長かった」と感想を述べ、病院に対しては「これまで誰一人として謝らなかった」と糾弾した。

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