【岸本拓也が街をプロデュース】レベルが違う釧路の“魚介類” 外からのアイデアで新名物を!

釧路港で水揚げされた魚介類はレベルが違う

日本全国に増え続ける面白い名前のパン屋のプロデューサー・岸本拓也氏が、もし地方の街をプロデュースしたら? 新規開店のために日本を飛び回り、地道な調査を重ねる岸本氏。蓄えた知識を街おこしに生かしてもらおうという連載です。

【北海道・釧路②】
釧路港は北洋漁業の基地として栄えただけあって、今も水揚げ高は北海道一。2020年には千葉・銚子に次ぐ全国2位を記録しています。しかも魚種も豊富。先日食べた釧路港で上がったオヒョウは、本当にうまかったです。

釧路には「炉ばた発祥の店」があります。日本全国に広まった、魚介類を焼くスタイルの炉ばた焼きは、釧路の「炉ばた」という店から始まったそうです。釧路港に揚がる豊富な魚があったから生まれたスタイルなんですね。街には炉ばた焼きの店がたくさんあります。

また北海道名物・ザンギ(たれをつける鳥唐揚げ)発祥の店もありますし、ご当地グルメの「スパカツ」(スパゲティーミートソースにとんかつを乗せたもの)なんてものもあります。あまり言われていませんが、釧路って“グルメの街”なんです。今でこそ人口減少が続いていますが、大いに栄えた時期があっただけに、食文化がしっかり根付いています。

魚介は特に優れています。レベルが違うほどおいしい。グルメの街として条件は揃っています。なのになぜ、いまひとつ目立てないのか。それは「素材の良さに頼り過ぎている」からだと思います。例えば「海鮮丼」なんか漁港のイメージにピッタリですが、札幌でもおいしいものが食べられます。何かを加えて突き抜けたものにしないと、足を運んでくれません。また“絶対的”なイメージはつくれません。

ではどうするか。東京や大阪から、クリエーティビティーのあるシェフをスカウトし、釧路の幅広い魚介を使う店を作ります。何人かのシェフに次々と挑戦してもらう、期間限定のフレンチやイタリアンの店を作るのもいいでしょう。外からのアイデアを持ち込めば、釧路ならではの新しい名物が生まれるはずです。

天ぷらの店もいいですね。釧路港で揚がった魚介に、野菜類は隣の鶴居村のものも入れましょう。先日食べた鶴居村の山菜がヤバイぐらいおいしかったんです。

それからラーメンとカレーです。「うまい!」となればどこまでも食べに行く人たちがいるこの2つは、強力な観光資源になり得ます。

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