Gen3仕様マスタング披露。ケリー・グローブ・レーシングが改めて2022年のRSC投入を表明

 RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップに参戦し、2020年からフォード陣営にスイッチしたケリー・グローブ・レーシングが、2022年からの本格稼働を予定する“Gen3”シャシー投入を改めて表明。現在チームに在籍するデビット・レイノルズと、アンドレ・ハイムガートナーの2021年仕様カラーリングを採用したGen3仕様フォード・マスタングのレンダリング画像を公開した。

 来季RSCへの導入が予定されるこのGen3規定は、現在の“Car of the Future(カー・オブ・ザ・フューチャー/COTF)”規定を基本とするGen2から許可された、2ドアクーペや5ドアハッチバックなどに対しても、スケーリング上の優位性や性能差が生じないよう配慮。かつ見た目に“違和感”を抱くことがないよう見直しが行われる。

 長年このシリーズで4ドアサルーンの『ファルコン』で戦って来たフォード陣営は、すでにCOTF規定を活用して2ドアクーペの『マスタング』にスイッチしているものの、元来からセダンボディを想定して書かれていたロールケージ寸法へのスケーリング適用により、キャビン部分が高い“ナロー&トール”の不自然なプロポーションを強いられてきた。

 シリーズとしてもその反省を踏まえ、この5月末に公開されたローリングシャシーはディメンションを一新。現行Gen2モデルに比べ全高・全幅ともに100mm低下・拡幅され、よりロー&ワイドなプロポーションに変更された。性能面でもダウンフォースが約200kg削減された上で車両重量を100kg軽くし、燃料タンク容量も拡大することで運動性能と戦略面での幅を広げる方針が採られている。

Dick Johnson Racing(ディック・ジョンソン・レーシング/DJR)とTickford Racing(ティックフォード・レーシング)に続き、Kelly Grove Racing(ケリー・グローブ・レーシング)もGen3へのコミットを表明した
現行Gen2モデルに比べ全高・全幅ともに100mm低下・拡幅され、よりロー&ワイドなプロポーションに
現行COTF規定のGen2モデルは、キャビン部分が高い“ナロー&トール”の不自然なプロポーションを強いられている

■2022年に向けたフォードとの正式契約はこれから

 2013年からファクトリー支援チームとしてL33型ニッサン・アルティマの4台体制を敷いてきたケリー・レーシングは、今季から投資家コングロマリットのグローブ・グループから支援を受け体制を一新。

 ホールデン陣営で強豪の一角を形成してきたエレバス・モータースポーツでエースとして活躍し、2017年にはシリーズ最大の祭典『バサースト1000』を制覇した実績も持つレイノルズを迎え入れ、彼のパーソナルスポンサーでもある石油潤滑油企業ペンライトのリバリーを採用した。

 一方、ニッサン時代に同チームからシリーズデビューを果たし、2021年第4戦でキャリア初優勝を達成したハイムガートナーは、今季も地元醸造メーカーのNEDウイスキーからサポートを受けたマスタングをドライブするが、チームは「フォードとの関係性がこのまま継続することを期待」しつつも、2022年にブルーオーバルのブランドで戦う正式契約を結んではいないことも明かしている。

 今回公開されたレンダリングは、新規定導入に合わせた新型モデル『シボレー・カマロZL1』を走らせるとアナウンスしたエレバスなどと同様、SSメディアによって作成された画像となるが、GM(ゼネラル・モータース)のホモロゲーション部隊であるトリプルエイト・レースエンジニアリングやチーム18も、来季のシボレー・カマロZL1導入を表明済みだ。

 同じくフォード陣営では、シェル・Vパワー・レーシングとして戦うディック・ジョンソン・レーシング(DJR)とティックフォード・レーシングがGen3マスタングの導入を発表しており、現在はトリプリエイトががカマロを、DJRがマスタングのGen3初号機の製造を進めている。

新規定導入に合わせた新型モデル『シボレー・カマロZL1』とともに、運動性能と戦略面での幅を広げる方針が採られる
チームは「フォードとの関係性がこのまま継続することを期待」しつつも、2022年にブルーオーバルのブランドで戦う正式契約を結んではいないことも明かしている
2021年RSCは7月9~11日の第7戦タウンスヴィル500に続き、延期中のウィントン・スーパースプリント開催を予定している

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