カヌーにキャンプ、サイクリング…恵まれた三方五湖で遊んだ50年【ふくいのそと遊び】

海と湖、そして山。遊び方は尽きることはありません=福井県若狭町の水月湖
「満月の光の道」が出現した水月湖=福井県若狭町

 「自然に大の字 あそぼーや」代表の田辺です。私たちは福井県の嶺南地域にある三方五湖(三方湖、水月湖、菅湖、久々子湖、日向湖)周辺を舞台にさまざまなアウトドアの遊び方を提案しています。海と湖、それらを囲むように連なる山々。そこでのカヌーやトレッキング、サイクリングにキャンプ…。この素敵なフィールドでの遊び方は尽きることはありません。私が生きていく決意を固めた、このエリアについて少し紹介させてください。

 若狭町の三方五湖の一つ「水月湖」の畔に生まれた私にとっては、生活スタイルの中に当たり前のように恵まれた自然「海」「湖」「山」が存在していました。

 春先には湖での「しらうお捕り」、夏になると「手長えび捕り」、秋には「ハゼ釣り」、冬には「寒鮒」・・・四季折々の食材・遊びに囲まれ50年間生きてきました。時には台風・大雨等の災害にも直面し、悲しい感じになることもありましたが…。

 住んでいる目の前には「水月湖」が広がっています。この湖の湖底から発見された『年縞(7万年前からの堆積物の地層)』の存在により「奇跡の湖」と呼ばれ、世界的にも貴重なエリアとしてニュースに取り上げられることも多くなっています。

 この水月湖、月に一度の満月の夜には、湖の対岸の山頂からまん丸な月が登ってきます。その月の光が、山々に囲まれ穏やかに広がった湖面に反射し、私の立つ湖畔まで一直線に繋がり、満月を目指した「満月の光の道」が出没します。それはそれは自然が作り出した見事な光景で、心が癒やされると同時に、些細な事で悩んでいる自分の気持を勇気付けてくれているのです。私にとってはとても大切な光景であると同時に、多くの方々に共感していただきたい一瞬です。

⇒【写真】「満月の光の道」が出現した水月湖

 「水月湖」という名前は、この景色を見て感銘を受けた人達によって命名されたものだと感じた時、7000年前のこの湖の景色と現在の景色が私の中で重なり合うのです。そして何とも言えない命の尊さと、後世への責任と、現在進行系の一瞬に過ぎない自分の人生を感じるのです。

 私達はこの大地に選ばれ、この大地に産んでいただき、この大地に育てていただいている。そして次への命へと繋いでいく-。私は、この価値観のもと、この地と共に生きていくことを決意しました。

 そして「持続可能な自然との共生と循環」をテーマにした人生が始まったのです。(「自然に大の字 あそぼーや」代表 田辺一彦)

【田辺一彦(たなべ・かずひこ)】1971年、若狭町の民宿の長男として誕生。2000年、三方五湖の湖畔に「湖上館PAMCO」」開業。04年に「門「自然に大の字 あそぼーや」を開業し、カヤックツアーや子ども合宿、自捕自食ツアーなど、若狭の自然を生かした活動を展開。嶺南一帯を自転車で走る「若狭路センチュリーライド」や「若狭路トレイルラン」など数々のイベントも手掛ける。

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