【新型コロナ】酒類提供、条件付き〝解禁〟も見えぬ先行き、拭えぬ不安 横浜の居酒屋「次に感染拡大したらもう…」

時短営業が終わる午後8時が迫る中、居酒屋に駆け込む客の姿もみられた繁華街=25日午後7時55分ごろ、横浜市内(写真の一部を修整しています)

 新型コロナウイルスの「まん延防止重点措置」が神奈川県内の一部地域で解除され、初の週末を迎える繁華街。

 再延長で規制が続くエリアでも酒類提供が“解禁”となり、シャッターを閉じていた飲食店にも約2カ月ぶりに明かりが灯った。かつてのにぎわいには程遠いものの、各店は感染対策を徹底しながら酔客と向き合っている。

◆従業員去り「経営者失格」

 3組の客がグラスを傾け、ビールや日本酒をあおっていた。

 月に1度の「プレミアムフライデー」を迎えた25日夜、仕事帰りの会社員らで混雑する居酒屋。経営者の男性(43)が「酒がないとやっていけない」と声を弾ませれば、なじみの男性客(52)は「こっちのせりふだよ」と威勢良く返した。

 重点措置が再延長された21日から、対象区域が横浜や川崎など6市に縮小した県内。飲食店の営業時間短縮要請は引き続き午後8時までとされ、午後7時までは▽1組4人以内▽滞在時間90分以内─などの条件で酒類提供も認められた。

 横浜の居酒屋は酒類提供の自粛が要請された4月下旬から休業し、今月21日に営業を再開した。

 オープンは3年前。コロナ禍にも客の要望に応えるため協力金を諦めて一時は開業したが、売り上げは半減した。借金も膨らみ、2人の従業員が店を去った。「仲間を守れなかった。経営者として失格」。男性は苦い経験を思い返し、自戒する。

 25日午後8時。客を呼び込む近くの店を横目に、客に退店を促した。経営を立て直し、従業員を呼び戻すことが目標だが「休まず営業しても時短の下で損失分は補えない」。

 カウンターで客に見せる笑顔は、先の見えない不安にかき消される。「また感染が拡大して休業要請が出たら、店を畳むしかない」

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