F1 Topic:MotoGP日本GPの中止で気になる鈴鹿への影響。現状は予定通り開催準備中か

 6月23日、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)、IRTA(国際ロードレーシングチーム連盟)、MotoGPを統括するドルナスポーツが、2021年のMotoGP第15戦日本GPの開催中止を発表した。MotoGPの日本GPは10月1~3日に開催が予定されており、F1の日本GPはわずかその1週間後の10月8~10日の予定であり、今回の決定の影響が気になるところだ。

 ただし、MotoGPの舞台は栃木県のツインリンクもてぎで、F1の舞台は三重県の鈴鹿サーキットと異なる。ツインリンクもてぎと鈴鹿サーキットを運営する株式会社モビリティランドは、MotoGPの日本GPの開催中止を発表したプレスリリースで、鈴鹿サーキットで開催が予定されている「F1日本GPと鈴鹿8耐の開催に向けた準備を進めている」ことを明かにしている。

 もうひとつ、MotoGPの日本GPと、F1の日本GPで異なる点がある。それは開催へ向けての段取りだ。株式会社モビリティランドはMotoGP日本GPの開催中止の判断理由を次のように説明している。

「6月中旬の開催判断が必要となり、国内外における移動や滞在などさまざまな状況において現時点では開催を確約できる状態に至らず、プロモーターであるドルナスポーツ社とも協議のうえ、断念せざるをえない結果となりました。楽しみにされていたファンおよび関係者の皆様におかれましては、ご理解くださいますようお願いいたします」

2019MotoGP第16戦日本GP

 しかし、筆者がF1の会長兼CEOのステファノ・ドメニカリに直撃したところ、「F1日本GPの開催可否はオリンビックの東京大会後に判断する」と語っていた。つまり、早くても8月上旬ということになる。

 ホンダの山本雅史マネージングディレクターも次のように語っている。

「MotoGPが今年、日本GPを開催しないと判断したことは非常に残念ですけど、MotoGPには来年もホンダはワークスとして参戦します。しかし、ホンダのF1が日本GPを戦うのは今年が最終年。MotoGPの発表は(開催に向けた準備の)タイミングもあったのだと想像するので、その決定は真摯に受け止めています。F1の日本GPに向けては鈴鹿サーキットが開催に向けて準備をしていると聞いているし、F1(FOM)も『日本GP開催に関しては、オリンピックの状況次第』と、ギリギリまで頑張ってくれているので、ホンダF1最終年に鈴鹿でF1ができるように祈るだけです」

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP 山本雅史(ホンダF1 マネージングディレクター)

 なお、国際自動車連盟(FIA)のメディア統括部門は、前戦フランスGPの決勝レース直後に、F1日本GPの取材を希望するメディアに対して、出入国情報を記入して提出するように通達を行っており、その提出期限は6月24日だった。書類には名前、生年月日、パスポート番号のほか、日本での滞在期間などを記入するようになっているが、出入国の情報に関しては空欄のまま提出するようになっている。したがって、今回の通達は、FIAが日本GP開催に向けて、どれくらいのメディア(主に海外)が日本に入国するのかの事前調査ではないだろうか。これをもとに宿泊体制やPCR検査体制を図ろうとしているものと考えられる。

 つまり、6月24日の段階で、F1の日本GPは開催へ向けて粛々と準備を進めていると言うことができる。

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