長崎市、猫の殺処分7割減 不妊・去勢手術費助成 「地域猫活動」が効果

長崎市の猫の引き取り数・殺処分数

 長崎市の猫の殺処分数が激減している。野良猫の不妊・去勢手術費を市が助成する「まちねこ不妊化推進事業」が活用され、繁殖を抑える「地域猫活動」を後押ししている。市動物管理センターで殺処分された数(自然死含む)は、同事業開始前年度の2013年度が1992匹だったが、20年度は72%減の543匹になった。
 同センターに持ち込まれる猫のほとんどが生後間もない子猫。増えては殺されていく状況を改善し、街中でのふん尿の害も減らそうと同事業を始めた。複数のボランティアや自治会が、飼い主のいない猫を地域で管理し、繁殖を抑制して徐々に減らす「地域猫活動」に取り組む。松永唯史・同センター所長は「市の事業を活用してもらったり、独自で活動に取り組んでもらったりしているおかげで、殺処分数は減少している」と話す。
 助成対象は不妊・去勢手術後の見守りができるかや、給餌、ふんの掃除などに取り組めるかを確認し、決めている。20年度までの7年間で自治会やボランティア団体などから計1231件の申請があり、うち156件に支出した。21年度は360匹分を予算化し、申請は5月末で締め切った。
 手術は市が指定する動物病院で行い、自治会などの負担額は1匹当たり2千円。残りの費用を市が動物病院に支払う。メスの不妊は2万円程度、オスの去勢は1万円程度。20年度末までに計1772匹に実施した。手術を済ませた猫は耳の先端をカットし識別する。
 市は殺処分数をさらに減らすため、県内初の動物愛護条例の制定を目指しており、地域で餌を与える場合のルールを定める方針。市は長年、全国62の中核市で最も殺処分数が多かった。温暖な地域は猫の繁殖に適しており、寒冷地では越冬できないこともあるという。19年度は多い順に大分、下関、長崎、鹿児島、佐世保。上位を九州・中国地方が占めた。

不妊化手術が終わった証しとして片耳の先端がカットされている猫=長崎市内

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