中京テレビ・佐藤啓アナ 母校・南山大出身のプロ野球選手「実録本」を出した理由

自著をPRする中京テレビ・佐藤啓アナ

中京テレビの佐藤啓アナウンサー(58)が昨年暮れにノンフィクション「無名の開幕投手 高橋ユニオンズエース・滝良彦の軌跡」(桜山社)を出版した。南山大学から唯一のプロ野球選手となった滝投手の生涯をたどった一冊。この本を出版するきっかけとなったのが佐藤アナの母校・南山大学に対する熱い思いだった――。

東海地方の人なら名前を知らなくても、スキンヘッドのアナウンサーといえばすぐに顔が思い浮かぶのではないか。中京テレビの佐藤アナはこの道31年のベテラン。現在も同局の「ストライク!」などの番組に出演中だ。

その佐藤アナが昨年、初の著作「無名の開幕投手――」を上梓した。愛知県豊橋市出身でプロ野球・高橋ユニオンズ(1957年に大映スターズに吸収合併される)の開幕投手も務めた滝良彦投手(1929―2017)の軌跡を追ったノンフィクション。この本を書くきっかけとなったのが、滝投手が佐藤アナの母校である南山大学出身の唯一のプロ野球選手だったからだ。「スポーツで有名ではない学校からプロ野球に進んだ人がいたことを知った驚き。直接お会いして話を聞いたら、すごい経歴だったことがわかって、書くことを決めました。南山には無頼漢みたいな人はいないと思っていたら、動乱期のパ・リーグに飛び込んで頑張った人がいた。そのことを多くの人に知ってもらいたいという気持ちもありました」と佐藤アナは言う。

「東海地区ナンバーワン私学」の呼び声も高い南山大だが、早稲田、慶応などの東京6大学や近畿地方の関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)に比べると全国的な知名度はいま一つ。浅田真央、安藤美姫、室伏広治らを輩出した中京大や、今季のセ・リーグ新人王の有力候補である広島・栗林良吏投手や中日・英智一軍外野守備走塁コーチの出身大学である名城大と比べても有名なOBがいない。そういった部分で物足りなさを感じていただけに、南山大出身で開幕投手まで務めたプロ野球選手がいたことは後輩として大きな誇りとなった。

佐藤アナは南山大学時代に仲間と共に学生プロレス団体「中日本プロレス」を結成。そこでアナウンサー役を担当していたことがきっかけで当時、中京テレビで放送されていた「5時SATマガジン」に出演し、自分のコーナーも持つようになった。大学卒業後に損害保険会社で4年間働いた後、中京テレビにアナウンサーとして中途採用された。名古屋を代表する名物アナウンサーとなった今でも「国際的な雰囲気があっておしゃれな感じが味わえる。大学生活は楽しかったし、本当にいい大学だと思います」と母校・南山大に対して深い愛情を持っている。

「早稲田や慶応なら誰もが知っている著名なOBがたくさんいますが、南山にはあまりいない。それは愛知、岐阜、三重という地元出身の学生が多いということと、地元に特化されているから、地元に就職する人が多いことも関係しているかもしれません。県民性というか堅実で石橋を渡る真面目な人は多いんだけど、突っ走って大きく目立つような人は少ない感じがします」。

こう分析する佐藤アナだが、だからこそ今後の南山大卒業生の活躍に期待している。「南山大学は環境もいいし、今は理系の学部もできて総合大学になりました。もっともっといい意味でみんなが憧れるような大学になってほしいですね」。

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