脳を調べる医療機器で男女の相性が分かる!? 日本の大学が真面目に研究

 日本の大学の研究チームが、主に脳疾患の有無を調べるために使われる「MRI」から得られる脳データで男女の相性が分かるかを検証する研究を行ったところ、ある程度信頼できる結果が出たと論文で発表した。研究チームでは今後の改良次第でマッチングサービスへの展開もあり得るとしている。

脳の活動状態がわかる「fMRI」を活用

 研究成果を発表したのは、京都工芸繊維大学 情報工学・人間科学系 梶村昇吾助教、高知工科大学の伊藤文人講師、出馬圭世教授の研究グループ。現在多くある男女のマッチングサービスの中には、利用者が自己報告した趣味などの情報を基に相性予測するサービスもあるが、研究チームはそれらの相性予測には「科学的妥当性はない」と指摘した。実はこうした自己報告をベースにした予測に対しては、以前から「自己報告による相手の好みと実際に選択した相手は必ずしも一貫しない」という別の研究結果も発表されている。

 そこで研究チームは、科学的にも信頼できる相性予測ができるか、「fMRI」画像データを活用して検証を行った。「fMRI」とは、頭部傷害、脳卒中や認知症など、頭部の疾患やケガを調べるために活用される「MRI」という医療機器で得られる脳活動の画像データ。脳内の血流変化を可視化するもので、つまり活発に動いている脳の場所がどこかを把握できるデータだ。

 検証としては、20 歳代の大学生 43 名(男性 22 名、女性 21 名)を集め、いわゆる「お見合いパーティ」に似た交流会を実施。事前に10分間、MRIで脳活動データを取得しておき、交流会では座席を縦に 4 列に並べて男女別に着席してもらい、目の前の異性と 3 分間の会話後に移動し異性全員と話し終えるまで繰り返した。参加者その後「また話したい」と思った異性を選んでもらい、その結果と、fMRIで得られた画像データの参加者同士の「類似度」とを比較。この手法によって人工知能のアルゴリズムを作成してその精度を検証した結果、統計的に有意に、相性を予測できることが分かったという。

 研究チームでは、この研究成果は、相性の良いパートナーを効率的に探すマッチング支援サービス、友人関係や仕事関係など幅広い対人関係における相性予測、他者との関係構築における支援方法の開発につながることが期待できるとしている。

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