MotoGP第9戦オランダGP:クアルタラロが今季4勝目で、チャンピオンシップトップを堅守。ビニャーレス2位でヤマハがワン・ツー

 MotoGP第9戦オランダGPの決勝レースがTT・サーキット・アッセンで行われ、MotoGPクラスはファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が2021年シーズン4勝目を挙げた。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は20番グリッドからスタートし、健闘の7位フィニッシュ。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は接戦の2番手争いを繰り広げたものの、中盤にポジションを落とし9位でチェッカーを受けた。
 
 決勝レースは気温24度、路面温度33度のドライコンディション。変わりやすい天候を称したダッチ・ウェザーが影響したのは初日だけで、日曜日の決勝レースは晴れた空の下で始まった。
 
 好スタートを切ったのは2番手スタートのクアルタラロで、ポールポジションスタートのビニャーレスは1コーナー前のストレートでクアルタラロとラインが交錯し、クアルタラロが眼前に出たことにより後退。2番手にはフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、 3番手には中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がつける。
 
 バニャイアは9コーナーでクアルタラロを交わすと、トップに浮上。クアルタラロは2番手、3番手が中上、4番手がビニャーレス、5番手がアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)でオープニングラップを終える。一方、20番グリッドスタートのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は10番手に浮上していた。
 
 トップ争いはバニャイアとクアルタラロによって争われ、3周目にクアルタラロがバニャイアのすきをうかがうも、バニャイアはオーバーテイクを許さない。さらに3番手の中上もクアルタラロの背後について走り、ブレーキングのたびにその差が縮まる。
 
 クアルタラロは最終シケインでバニャイアの前に出ようとするも、立ち上がりではバニャイアの駆るドゥカティ デスモセディチGP21が勝る。しかし7周目の11コーナーで、ついにクアルタラロがバニャイアをとらえた。高いコーナリングスピードでバニャイアのインに入ると、続くコーナーで先行し、トップを奪い返したのだ。
 
 クアルタラロはトップに立つと、一気にペースを上げる。8周目にはファステストラップのレコードを更新するタイム、1分32秒897を叩き出し、バニャイアとの差はあっという間に1秒になった。
 
 2番手のバニャイアの後方には中上がつける。中上は序盤から3番手をキープしており、次第にバニャイアとの差を詰めていった。そして、中上の背後にはビニャーレスが僅差を保ったままつけている。2番手のバニャイアと3番手の中上、4番手のビニャーレスとの差はほんのわずかとなった。中上は13周目の11コーナーでバニャイアの前に出るも、ストレートでは再びバニャイアが2番手を奪い返した。

 2番手争いは拮抗した。バニャイア、中上、ビニャーレスがほぼワンパックではあるが、そのすぐ後方には5番手のザルコ、6番手のミル、7番手のミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)がつけている。わずかなミスでいくつもポジションを落としてしまう、緊迫した展開が続いた。
 
 しかし、14周目、バニャイアにトラックリミットを超過したことによるロングラップ・ペナルティが科される。そしてこのとき、ビニャーレスが中上をパス。続いて、ザルコが中上を交わし、中上は5番手に後退した。バニャイアは15周目にロングラップ・ペナルティを消化し、8番手に後退する。
 
 ビニャーレスとザルコに交わされた中上は、その後相次いでポジションを落としていく。16周目には9番手になった。マルク・マルケスはこのとき8番手で、中上の前に出ている。中上のペースは明らかに、これまでよりも1秒以上落ちていた。
 
 トップを走るクアルタラロは、すでに2番手のビニャーレスに対し4秒以上の差を築いている。2番手のビニャーレスの約0.5秒後方には3番手のザルコ。しかし、20周目には、ミルがザルコを交わして3番手に浮上する。ミルは10番グリッドからお家芸とも言える追い上げのレースで3番手に浮上した。
 
 クアルタラロは序盤にバニャイアから1番手を奪還して以降、一度もトップを脅かされることなく、独走で優勝を果たした。2021年シーズン4勝目。前半戦を締めくくるオランダGPを勝利で飾り、チャンピオンシップのランキングトップの座を堅守。ランキング2番手のザルコとの差を34ポイントに広げた。
 
 2位でチェッカーを受けたビニャーレスは、残り5周で少しずつクアルタラロとの差を削っていたが、3秒の差を詰めることはできなかった。ただ、開幕戦カタールGP以来の表彰台獲得。ヤマハとしては今季初めてのワン・ツーフィニッシュを果たした。
 
 3位は10番グリッドから7つポジションを上げたミル。今季3度目の3位表彰台を獲得している。4位はチャンピオンシップでランキング2番手につけるザルコ、5位はオリベイラ。一時、クアルタラロとトップ争いを演じたバニャイアは6位だった。

 20番グリッドからスタートしたマルク・マルケスは、13ものポジションを上げて7位でフィニッシュ。激しい2番手争いを繰り広げた中上は、中盤以降にポジションを落とし、9位でレースを終えた。
 
 オランダGPを終え、MotoGPは約ひと月のサマーブレイクに入る。次戦の第10戦スティリアGPは、8月6日から8日、レッドブル・リンクで行われる。

2021年MotoGP第9戦オランダGP ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
2021年MotoGP第9戦オランダGP マルク・マルケス、中上貴晶
2021年MotoGP第9戦オランダGP マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)
2021年MotoGP第9戦オランダGP ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)

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