日本の男女格差指数は120位 「女性活躍社会」が進まぬ課題とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月2日(水)放送の「フラトピ!」では、キャスターの田中陽南が“女性活躍社会”をテーマに取材しました。

◆世界に比べて格段に大きい日本の男女格差

今年3月に発表された男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」で、日本は156ヵ国中120位。先進7ヵ国のなかでは最下位と、日本は男女平等の観点ではまだまだ世界に遅れをとっています。

2015年に「女性活躍推進法」が施行されましたが、その格差は縮まっていないのが現状です。特にそれを象徴しているのが、法を定める側の国会議員数。現在、衆議院は定数465人のうち女性は46人。わずか1割にとどまっています。

なぜ女性議員が少ないのか。自民党議員連盟の女性議員飛躍の会・共同代表の佐藤ゆかり議員に話を伺ってみると、「今、衆議院で予算委員会に自民党の女性議員はゼロ。こういうことからして少しバランスを欠いている」と国会の男女バランスについて疑問を呈します。

そして、女性議員の割合が低い要因に関しては、「意識的に女性議員を必ず入れなければいけない、そういう思考が軽々に頭のなかから外れている」と指摘。

その上で、「女性議員の参加率が高まると、それだけ政策を作る世界に女性の視点が織り込まれ、反映されるようになっていく。女性が体験しているからこそ言える政策分野があり、その結果、より住みやすい社会、営みのしやすい経済というのができあがる」と女性活躍のメリットを語ります。

◆出産後の復職率100%を実現する企業の制度とは

女性の活躍が停滞する大きな要因が「出産・子育て」です。出産後、仕事を辞める女性が今も少なくありません。そんななか、出産後の復職率100%を誇る企業があります。それは化粧品の開発・販売を行う「株式会社ランクアップ」。

この会社は化粧品を扱うこともあり、社員の8割が女性で、しかもそのうちおよそ4割が子どもを持つママ社員。そして、そんなママ社員にやさしい福利厚生が、「ベビーシッターの制度」。代表取締役の岩崎裕美子社長は「子どもが体調不良で休まなければいけないようなときに、会社のお金でベビーシッターが雇える。社員の負担は300円」と話し、会社が2万円以上を負担していると言います。

その他にも、「子連れ出勤制度」や「スーパーフレックス制度」など、さまざまな制度が充実。なぜこうも福利厚生にこだわっているのか、岩崎社長は「仕事と子育ての両立が大変で会社を辞めるパパはいないが、ママはいる。子育てが大変だという理由で(会社を)辞めてほしくない。仕事と家庭の両立を本気で応援している」と思いを語ります。

◆女性が働きやすい社会にするためには?

今回の取材で、佐藤議員と岩崎社長に話を伺ったキャスターの田中陽南は「双方から出てきたのは、女性の視点は社会に重要だということ」と言います。キャスターの堀潤も「多様性がなぜ必要かと言えば、偏っていると課題認識のバリエーションが狭まってしまう。もっとさまざまなバッググラウンドの人がいればいい」と感想を述べます。

また、インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、「今は男女平等な社会を作っていくための移行期。女性が家事・子育てをするべきという前提は仕方ない」と一定の理解を示しつつ、「今できる工夫や働いている人たちが求めているものを作っていくのは大事」と主張。そして、社会的な固定概念を変えるために「前例をたくさん作っていくことと、女性だから、男性だからと2つに分けないで考える必要がある」と力説します。

政府は2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%程度にする目標を2003年に掲げていました。しかし、「民間企業の管理職相当の女性割合の推移」を見ると、部長相当の職の女性は8.5%。係長相当も21.3%と30%に届いておらず、政府は目標達成を断念し先送りに。

なお、女性役員数も増えてきているものの、男女比で見ると6.2%と低い数字になっています。

この結果に、能條さんは「まだまだなんだと思う」と実感を述べ、「男性と同様に頑張れる一部の女性のための政策になりがち。当たり前に男女半々にするには頑張れる女性だけでなく、みんながというのが大事」と提言。

ここで堀は今の管理職について言及。「上からはどうするんだ、下からもどうなっているんですかと言われる管理職、誰もなりたくないんじゃないかと思うぐらい過酷」と現状を憂い、「管理職の働き方を変えないと、なりたい人も増えない」と危惧。一方、能條さんは「(管理職に)なりたくはないけど、次の世代のために頑張ってくれる人たちがたくさんいると感じている」と期待します。

最後に女性が働きやすい社会実現に向けて能條さんは、「今は子育てや介護、家事などは母親中心という考え方が当たり前だが、それを見直す必要がある」と提案。また、そもそも日本のジェンダー平等政策は男女平等を実現するためでなく、人口減少による働き手不足の解消、労働政策の一環で進められてしまった節があるとし、「男性と女性が同じように働けて、なおかつそれが労働力を補うためでなく、フェアに作っていくのが必要」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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