来年度、全高校へ導入予定の「探究学習」とは? 探究コースを新設した佐賀の高校の1年を追う

FNS九州・沖縄8局で制作・放送しているドキュメンタリー番組「ドキュメント九州」(各局の放送日時はこちら)。最新回は、STSサガテレビが担当し、同局では6月29日(午後3:15)に放送する。タイトルは「私たち探究世代 ~新しい学校のカタチ~」。新学習指導要領で2022年度から全高校に導入される予定の「探究学習」に焦点を当てる。

探究学習とは、教科書に沿って知識を修得するのではなく、生徒自らが課題やテーマを見つけて解決策を考える学習だ。そんな探究学習に特化して、さまざまなプロジェクトに取り組む「探究コース」を、佐賀県基山町の私立・東明館高校が20年に新設した。1期生として入学したのは9人。小、中学校の時に勉強する意味を感じなかったり、人間関係がうまくいなかったという生徒もいて、従来とは異なる学校環境に期待した子どもたちが集まった。

彼らを受け持つ担任の山元祐輝先生も「中学・高校時代は授業が全然面白くなかった」と明かす個性派だ。教師として新しい授業の形を模索していたという。「探究コース」で新しい学びや試みにチャレンジしてきた教師と生徒たちの1年間を描く。

【弓忠雄ディレクター(サガテレビ報道部 コメント】

「『学校の勉強って、なぜしないといけないの?』…多くの人が一度は抱いた疑問だと思います。私自身が高校生だったのは20年余り前なので、今回取材した生徒や先生たちがパソコンやオンライン学習アプリを使いこなしている姿には隔世の感を覚えましたが、そんな疑問を持つ子どもたちがいることは、どの時代も変わらないようです。今回の中心テーマ『探究学習』は、教科書とにらめっこするのではなく、実際に社会にある物事について、生徒がその課題と解決策を調べ、考えていこうとするもの。東明館高校・探究コースの生徒たちは『校外の人とのコミュニケーション』や『自分で考えをまとめて人に伝える、発表する』など、探究学習の特徴といえる学びを多く経験します。私が通っていた当時の普通高校の授業にはほとんどなかった要素です。しかし実はそれこそが、社会人になった時に必要とされる人間としての“力”なのかもしれません。生徒たちはその過程で、嫌でも自分のできないこと、足りないところを知ることになります。カリキュラムの大半で探究学習に取り組む、なかなか例がない学科で、入学した生徒も少人数。昨年4月のスタート時は、果たしてうまく行くのか? 取材する側としてもちょっと心配していました。また、新型コロナの世相のため、授業ではいつもマスクを着用。本来は国内各地を訪問したりするはずだったプロジェクトもオンラインになったりと、思うような活動ができないことも多かったです。それでも、3学期に入って、学ぼうとする姿勢、活動しようとする姿勢をむしろ強くしていた生徒たちの姿に『ドキュメンタリー化できる!』と感じました。『なぜ勉強しないといけないのか?』という問いの答えは、一概には言えない難しいものですが、今回の生徒と先生の姿を見て、何か感じてもらえるといいなと思います」

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