伝説の男優・沢木和也さん死去 息子には“正体”明かさぬまま…29日発売の自叙伝に生きざま残す

数々の伝説を残した沢木さん

1980年代から伝説の男優として活躍してきた沢木和也さんががん闘病の末、今月19日に亡くなっていたことがわかった。54歳だった。昨年春のがん公表以降、周囲の関係者が自叙伝出版に向けたクラウドファンディングを行い、闘病を支援。本紙には愛する高校1年生の一人息子への思いを語っていた。アダルト界の「ナンパの帝王」は人生の最後に何を残したか。

沢木さんの妻は27日、ツイッターで「夫 沢木和也は1年3ヶ月、病と闘っておりましたが本人と家族の願いも虚しく2021年6月19日他界いたしました 故人の遺志により葬儀は家族葬にて執り行いました 応援してくださいました皆様 関係者の皆様 生前の多くの方からのご厚意に深く感謝申し上げます」と公表した。

昨年4月、沢木さんは食道と下咽頭のがんであることをツイッターで告白。以後、闘病生活が始まると、周囲の関係者が闘病支援に立ち上がり、クラウドファンディングを開始した。

「一番忙しかったころは監督料も含め、年収は2000万円くらいあったけど、全然手元に残すことは考えてなかった」と治療費がないことを正直に明かしたうえで、自叙伝出版へ向けて、こう話していた。

「がんで体は弱っていくけど、しばらくは意識も持ち続けられるし、動ける。何かを残すチャンスは与えられている。どうしようもない親父で息子には財産も残せていないけど、残りの命を上手に使えば、今からでも何か作ってやれる。そういう率直な気持ちをSNSで漏らしたら、意外な人たちまで手弁当で協力してくれている」

その息子は高校1年生になった。だが、父とは普通の父子の関係ではなかった。

「息子さんは今も父親が男優の沢木和也であることを知らないんです。奥さんも息子が気付くまでは言うつもりもない。昔から家には仕事を持ち込まない。逆に仕事にはプライベートを持ち込まない人だった」(関係者)

野球部で活動する息子の姿をグラウンドから離れた車の中から見守るなど、自身の素性がバレて息子に伝わらないよう、注意を払う行動は徹底していたという。

“父の正体”を知らない息子という父子だが、自叙伝「伝説のAV男優 沢木和也の『終活』癌で良かった」(29日発売)には息子への思いが詰まっている。

「いつか、父親の仕事がわかる年になった時に読んでほしいという遺言のような本」(関係者)は完成し、クラウドファンディングの支援者への返礼として発送されたが、沢木さんは支援者からのお礼、激励の言葉を聞く前に亡くなったという。

1988年に21歳で男優デビューした沢木さんは90年代、「ナンパの帝王」と呼ばれ、自身の名前を冠した作品を世に送り出した。

「ナンパ作品を撮影時には撮れ高十分で撮影を終えたのに、目を離した隙に女の子をナンパし始めたり、朝イチの待ち合わせ場所に行ったら、カメラも回っていないのにもうナンパを始めてたこともあったほどの女好き。それだけ好き勝手にやって、ちゃっかり家庭があって、それでも毎日違う女を連れて真っ黒なジャガーを乗り回す超自由人だった」(別の関係者)

だが、素顔は「アダルト業界関係者との付き合いは苦手だったが、自分で飲み始めると寂しがり屋になって、電話魔になったり、相手を帰さずに2、3日飲み続けたりすることもあった」(同)という。

同じ時代に活躍した男優・チョコボール向井氏(54)は「なにも、力になれずにすいません。最後に電話で話したのは一年前ですかね。ご冥福をお祈りいたします」とツイッターで追悼した。

アダルト業界に名前を残し、息子にはいつか目にする本で生きざまを残した。

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