37年ぶりの11連勝

好調オリックスの快進撃を読み解く

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日本ハムに勝利し、11連勝となりハイタッチするオリックス・中嶋監督(左端)ら=京セラドーム

 プロ野球のパ・リーグで2年連続最下位に沈んでいたオリックスが、好調を維持している。

 6月28日現在36勝29敗9分けで、楽天と並び同率首位。6月20日に7年ぶりのトップに立ってから、1週間以上もその座を守っているのだから一過性のものではない。

 セ・リーグとしのぎを削る交流戦から上昇機運にある。シーズン序盤こそ一進一退だったが、6日の中日戦から連勝街道を走り始める。

 まず、交流戦を12勝5敗1分けで優勝。さらに再開したペナントレースでも快進撃は止まらず、23日の日本ハム戦まで連勝は11に伸びた。

 ファンも夢見心地のようだ。あるテレビインタビューでこう答えている。

 「昨日までコンビニ弁当を食べていたのが、急にフランス料理のフルコースを出された感じ。どうしていいのか分からん」。言い得て妙の表現である。

 何せチームは1996年に日本一になって以来、リーグ優勝から遠ざかっている。12球団で最も勝利の美酒に縁のないチームだ。負け犬根性が染みつき、リーグのお荷物という酷評まで聞かれていた。

 大変身の要因は大きく分けて二つある。

まずは投打の柱がしっかりと構築されたこと。投手陣では山本由伸に加えて19歳の宮城大弥が急成長。元々、山岡泰輔や田嶋大樹らの投手スタッフはリーグでも優秀だったが、ルーキーイヤーの昨年は1勝止まりだった宮城がエース級に育って、目下8勝1敗。防御率でも山本と二人でリーグの1、2位を争っている。

 打者に目を転じると、不動の3番打者である吉田正尚の後を打つ杉本裕太郎、T―岡田らが昨年までとは見違える活躍を見せている。

 こちらも打撃成績のトップを吉田が走り、2位に杉本がつけている。その結果、昨年はリーグ4位(タイ)だったチーム本塁打数が今季はトップタイ(70本)と破壊力を増している。

 投手陣に大黒柱が二人いることで最大連敗は4。ライバルの楽天は7連敗を記録し、ソフトバンクも4連敗以上が4度あるのに対して、いかに安定した戦いができているかが分かるだろう。

 二つ目の要因は「中嶋チルドレン」の存在である。昨年途中に2軍監督から1軍の監督代行に指名されたのが中嶋聡監督だった。

 若手を育てながら強化していく時期に、中嶋監督は2軍で一緒に汗を流した選手たちの特徴と可能性を熟知している。宮城も杉本も昨年まではファーム暮らしが長かった。

 今では1、2番を任される福田周平と宗佑磨に、プロ2年目で正遊撃手に抜擢された紅林弘太郎も「中嶋チルドレン」だ。

 昨年入団したメジャーで282本塁打の実績を誇る超大物外国人、アダム・ジョーンズは期待外れに終わった。

 今季はジョーンズがベンチを温めるケースが増えている。名前よりも現状の力を優先する厳しさが浸透し出したことも、チーム内の競争を生む好循環につながっている。

 オリックスの前身は阪急ブレーブス。かつては西本幸雄、上田利治といった名将の下、山田久志、福本豊らのタレントをそろえてパ・リーグの盟主として君臨した。

 その後、球団はオリックスに譲渡され、阪神淡路大震災に見舞われた95年は「頑張ろう KOBE」を合言葉にリーグ優勝。翌96年は日本シリーズを制し、仰木彬監督がイチロー選手らナインの手で宙に舞った。

 だが、2004年の球界再編問題で近鉄と合併、分配ドラフトが行われて寄せ集め集団となったあたりから低迷が始まる。

 今回の11連勝は阪急時代の84年以来37年ぶりのこと。ようやく、オリックスに希望の灯が見え出した。

 とはいえ、今季のパ・リーグは史上まれに見る混戦模様だ。首位を行くオリックス、楽天から5位の西武までが目下4ゲーム差。どのチームにも優勝の可能性は残されている。

 シーズン前の「台風の目」の存在から「前半戦の主役」にまで躍り出たチームの勢いはどこまで続くのか。

 「我々はあくまでチャレンジャー。目の前の一戦一戦を全力で戦っていくだけ」と指揮官は1戦必勝を強調する。

 無欲の進撃から勝負の夏を経て実りの秋へ。生まれ変わったオリックスが下克上を成し遂げれば、これほど痛快なドラマはない。

荒川 和夫(あらかわ・かずお)プロフィル

スポーツニッポン新聞社入社以来、巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)などの担当を歴任。編集局長、執行役員などを経て、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。