就活やめ、休学した横浜市大の女子学生が起業を選んだ理由

廃棄の削減と有効活用を目指すストックベースの関芳実さん(左)と菊原美里さん=横浜市中区

 「目の前に課題があり、それを解決するためのプランもある。何もしないわけにはいかない」

 今年2月、横浜市立大学(同市金沢区)の3年生だった関芳実さん(21)と菊原美里さん(22)は就職活動をやめ、大学に休学届を提出。起業の道を選択した。

 きっかけは、授業で取り組んだ新規事業プロジェクト。企業で不要となったカレンダーが高齢者施設で需要があることを知り、廃棄物を必要とする団体に循環させる仕組みを考案した。

 2人を含めプロジェクトに参加した計5人は、三つのビジネスコンテストに応募。一つは最優秀賞を、もう一つではアイデア賞を獲得した。

 共に取り組んだ学生の中には、就職を選ぶ者もいた。しかし自らのプランで廃棄に対する企業の課題を解決できると感じた2人は「ビジネスコンテストで評価されたことで事業の必要性を再認識できた」。コンテストの賞金を軍資金に、起業へ向けて動きだした。

 4月に2人が起こしたのがストックベース(同市中区)。代表取締役を関さんが、取締役を菊原さんが務める。手掛けるのは、企業で不要となったものを社会福祉団体などへ寄付するマッチング事業だ。

 各企業の廃棄予定の品物に対し、寄付先の選定や配送手配を行う。廃棄に伴う各企業の業務負担を軽減し、対価としてマッチング手数料をもらう仕組みとした。企業の近隣で受取先を探すことで、配送手数料などのコスト削減につなげるのが特徴だ。現在は主に消味期限間近の非常食を企業から受け取り、フードバンクや支援団体などに配布している。

 災害時の備えである非常食は、たとえ使用されずとも備蓄量を減らすことが難しく、継続的に一定の廃棄が出てしまう。菊原さんは「備えることに意味があると考えられがちだが、出口を意識する必要もある」と強調する。

© 株式会社神奈川新聞社