「やりたいのに場所がないのはダメ」 女子野球教室を開催したメーカーの意義と願い

野球メーカー「フィールドフォース」の小林夏希さん【写真:川村虎大】

野球未経験者の発案で6名のスタッフが丁寧に指導、少女12人が参加

女子野球の発展と練習環境の向上のために、野球メーカー「フィールドフォース」が野球少女を対象にした「ステップアップレッスン」をこのたび開催した。投げると自分の方に球が返ってくる守備練習ギアを企画・開発するなど野球少年、少女を応援する同社。小林夏希さんを中心に6名のスタッフが講師となり、総勢12名の参加者に野球の魅力を伝えた。

プロ野球球団の傘下チーム発足など、発展の兆しは見せているが、まだまだ環境が整っているわけではない。ポニーリーグ出身でもある小林さんは「少年野球チームとかに所属している女子選手は試合に出る機会が少ない子も多い。試合に出なかったり、練習でも取り組んでいなかったりすると、チームプレーって学ぶことできないと思うんです」と話す。そのため、今回の野球レッスンではチームプレーをメインに行った。

女子プロ野球選手を呼んで講習会を行うことはあったが、女性スタッフのみでのイベントは初。野球未経験の田島乃彩さんが提案すると、会社のバックアップもあり、実現に漕ぎつけた。当日は、日本代表経験のある小林さん以外にも、神田女学園ソフトボール部を全国ベスト8に導いた小平美波さんやポニーリーグ現役コーチも務める中瀬有華さん、栗林里帆さん、藤原こころさんが丁寧に指導。発案した田島さんもウォーミングアップを担当した。

室内練習場「フィールドフォースボールパーク1」で行われた守備練習では、外野から中継への一連の動作を取り入れ、打撃練習では状況を想定させながら、打つコースや打球角度を指定。試合の様々な場面での役割を意識させ、連携の大事さを伝えた。

練習後には、隣接されたカフェで、同社の大貫高志会長が自ら作ったスムージー、ヨーグルトを参加した野球少女らに提供。互いに親交を深めたり、悩みを聞いたりした。

「私たちが場所を提供して、そこで気づいたことを製品化する。それで野球が上手くなってくれたり、好きになってくれたりする女子選手が増えるようなサイクルができたら嬉しいです」

今、少年少女野球が置かれている状況は厳しい。十分に練習ができないチームもある。小林さんは「やりたいのに場所がないのはダメだと思うんです」と場所と機会を提供することが、今、自分にできることと感じている。大きなことは考えていない。だが、このような取り組みが女子野球の土台を支える。

【動画】投げると球が自分の方に返ってくる 現在完売中の守備練習道具を開発したのは野球女子

【動画】投げると球が自分の方に返ってくる 現在完売中の守備練習道具を開発したのは野球女子 signature

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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