伝説の歌姫・中森明菜80年代の全軌跡、その魅力に迫る! 30枚組7インチシングルコレクション発売記念特集

1982年5月1日にリリースされたデビューシングル「スローモーション」の発売から来年で40年。明菜が80年代を駆け抜けたワーナー時代全シングルの2014年リマスターによる30枚アナログBOXが6月9日にリリースされました。これを記念して、音楽エンターテインメントサイト Re:minderでは、『中森明菜デビュー40周年!』80年代全シングルをピックアップしたコラムを掲載するなど総力挙げて大特集!

花の82年組、スロースターターだった中森明菜

“花の82年組” と言われた1982年デビューのアイドルの中で、中森明菜は決して抜きん出た存在ではなかった。同期には、松本伊代、堀ちえみ、小泉今日子、石川秀美、早見優… それぞれが個性的なパブリックイメージを築きながら活躍の場を広げていく中で、中森明菜はスロースターターだった。

デビュー当時のキャッチフレーズは「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」なんとも曖昧な印象だった。デビュー曲「スローモーション」では、このキャッチフレーズとは相反した歌唱力に驚かされるのだが、テレビの画面ではいつもはにかみ気味で、遠慮がちにしゃべるその姿には、「生き馬の目を抜く芸能界で生き抜くことは難しいのでは…」と思わせる不安定さすら感じた。

事実1982年5月1日にリリースされた「スローモーション」は、来生えつこ、来生たかおという当時のゴールデンコンビがソングライティングを手掛け、ロサンゼルスでのレコーディングを経てという華々しさはあったものの、リリース翌週のチャートアクションはオリコンで58位とヒットには及ばないものであった。しかし、このデビューシングルは同チャートで計39週という長期にわたりランクイン。これは、セカンドシングル「少女A」以降の明菜の本領発揮が成せる技だったと言ってもいいだろう。

スロースターターだった明菜の本領が発揮されたのは、セカンドシングル「少女A」 だと言ったら異を唱える人はいないだろう。売野雅勇、芹沢廣明コンビ… 後にチェッカーズの数々の楽曲を手掛け彼らをスターダムにのし上げる仕掛人たちが手掛けたこの楽曲で、デビュー当時の透明感溢れる純粋な美少女のイメージを大きく覆し、硝子細工のように壊れやすいハートを持った不良少女に転身を遂げたのだ。無論これが明菜の本質であったわけではないが、ハードロックテイストの哀愁を帯びた楽曲の中で、明菜が作り上げたイメージが大衆の心に突き刺さったのだった。

この「少女A」から楽曲ごとに様々な顔を見せてくれる明菜はシングルレコードの片面数分間という僅かな時間の中で場面ごとに表情をくるくると変える女優のようであった。そしてそれは完璧だった。歌の中の明菜は様々な顔を持ち、大衆を魅了していく。おっとりしたスロースターターであり、決してでしゃばらず、自分のペースを崩さなかった明菜の本領… それは、楽曲に入り込む “情念” であり、類まれな “歌唱力” であったことは言うまでもない。

16曲連続オリコン1位の快挙! 80年代ヒットチャートの軌跡は “中森明菜の軌跡”

その後の明菜の面目躍如は周知の通りだろう。サードシングル「セカンド・ラブ」でオリコン最高位1位を獲得した明菜は、その後も、1984年4月11日にリリースされた8枚目のシングル「サザン・ウインド」から1988年5月18日にリリースされた「TATTOO」まで16曲連続1位を獲得するという快挙を成し遂げる。いわば、80年代の邦楽ヒットチャートの軌跡は “明菜の軌跡” と言っても過言ではないだろう。

そんな80年代を代表し、今なお多くのファンの間で復活が熱望されている中森明菜のデビュー40周年を記念して、ワーナー時代、1982年5月1日にリリースされたデビューシングル「スローモーション」から1991年3月25日にリリースされた「二人静-「天河伝説殺人事件」より」までの全28タイトルを完全網羅した30枚組アナログ・シングルボック『ANNIVERSARY COMPLETE ANALOG SINGLE COLLECTION 1982-1991』が6月9日にリリースされる。

全曲2014年リマスターの音源。フォーマットはアナログ7インチ28枚、アナログ12インチ1枚、カセット1本という超豪華版で完全限定盤となっている。まさに日本の音楽シーンに燦然と輝くシングルボックスだ。このリリースを記念してRe:minderではマンスリー企画として中森明菜大特集を敢行!

楽曲ごとの思い入れは人それぞれ。80年代を過ごした人なら誰しも口ずさんだことがあり、今も脳裏に鮮やかに残ることだろう。明菜の歌声とメロディを噛みしめて欲しい。

(文:本田隆)

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